学校法人東洋大学・富士通株式会社と共同研究を実施

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印刷 ページ番号1030308 更新日 2022年4月21日

学校法人東洋大学・富士通株式会社と共同研究を実施

 尼崎市では、平成30年度から兵庫県警察本部等と連携のもと、特殊詐欺対策に取り組んでいます。
 今回、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺の撲滅に向け、学校法人東洋大学(注1)(以下、「東洋大学」という)と富士通株式会社(注2)(以下、「富士通」という)と連携して日本初となる共同研究を実施します。
 本共同研究が、本市はもちろん、全国的な特殊詐欺の抑止に繋がることを期待しております。

1 研究趣旨

 尼崎市、東洋大学、富士通は、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺の撲滅に向けて、AIと犯罪心理学を組み合わせたコンバージングテクノロジー(注3)を活用し、被害者の判断力が低下していないかなどの心理状態を推定しリスクを可視化することで特殊詐欺を未然に防止する日本初の共同研究を実施しています。
 本共同研究では、還付金詐欺などの特殊詐欺を高精度に検知し未然に防止する特殊詐欺推定AIモデルの構築を目指しています。

2 研究背景

 警察庁によると、令和3年における全国の特殊詐欺の認知件数は、前年比911件増加し14,461件で、その内、65歳以上の高齢者を標的とする特殊詐欺が88.2%と大部分を占めています。
 尼崎市では、警察、防犯協会等と連携し、現金自動預払機(ATM)のパトロールなどの特殊詐欺対策を強化する一方で、令和3年の特殊詐欺の認知件数は102件、被害総額は約9,700万円(いずれも速報値)と深刻化しており、さらなる対策が急務となっていました。

3 研究期間

 令和4年3月30日から令和5年3月31日までの1年間

4 研究内容

 特殊詐欺を高精度に検知するAIモデルの開発を目指す実験として、本市の高齢者を対象に、富士通が開発したヒューマンセンシング技術に基づく感情推定と、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を活用した1回目の実証実験を行いました。
 今後1回目の実証実験で取得したデータを富士通と東洋大学が分析し、分析結果を踏まえて富士通が構築した特殊詐欺推定AIモデルの有効性検証を行う2回目の実証実験を行います。

実証実験1回目

概要

 実証実験1回目では、本市の高齢者を対象に、富士通が開発したヒューマンセンシング技術に基づく感情推定と、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を活用し、対象者が詐欺電話を体験するなかで、犯行に使用されるワードに、どのような反応を示すのかを捉えるとともに、反応時の心理状態を把握する実験を行いました。

実施日

 令和4年3月30日(水曜日)、31日(木曜日)の2日間に分けて、尼崎市役所庁舎内で実施しました。

実施方法
  1. 事前検証
     兵庫県警察協力のもと、特殊詐欺の音声から特殊詐欺特有のキーワードとパターンを分析し、実証実験で使用するリアリティのある特殊詐欺シナリオを事前に作成します。
  2. 実験当日
     事前に作成した特殊詐欺シナリオを基に録音した特殊詐欺グループを装った音声を対象者に聞いていただきます。
     その際、カメラ映像から人の行動を認識するAI技術「行動分析技術 Actlyzer」、顔の表情から感情などを推定する表情認識AI技術、顔の画像からリアルタイムに脈拍を推定するAI技術を用いて、対象者の顔の表情や脈拍などのデータをカメラやセンサーで捉えます。
     また、体験後に犯罪心理学の観点等を盛り込んだ事後アンケートにより、一連の体験のなかで対象者がどのような心理状態であったかを把握します。
  3. 実験後
     実証で測定した対象者のセンシングデータとアンケート結果から対象者の心理状態と身体状態の関係性を分析します。
     その分析結果を基に、対象者が騙された状態であることを推定し、還付金詐欺を検知する特殊詐欺推定AIモデルを構築します。
1回目実験風景
1回目の実験風景

実証実験2回目

 今後実施予定です。

5 研究における役割

 東洋大学:実証シナリオの作成、心理学に基づく分析、データ収集、特殊詐欺推定AIモデルの設計
 富士通 :実証シナリオの作成、実証方法の検討と実施、データ収集、特殊詐欺推定AIモデルの設計と開発
 尼崎市 :実証に係る協力者等の調整、実施場所等環境の提供

6 今後について

 複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺において共通的に活用できる特殊詐欺推定AIモデルの開発を目指す取り組みを推進することにより、超高齢社会においても、高齢者が安心安全な生活を送れる環境づくりに貢献することを目指します。

注釈

(注1)学校法人東洋大学:所在地 東京都文京区 理事長 安齋 隆
 本研究では、社会学部長である桐生正幸教授のもと、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を行います。
(注2)富士通株式会社:本社 東京都港区 代表取締役社長 時田 隆仁
 本研究では、富士通株式会社の研究本部である先端融合技術研究所(神奈川県川崎市)によって、ヒューマンセンシング技術に基づく感情推定を行います。
(注3)コンバージングテクノロジー:特定の目的を達成するために2つ以上の異なる分野の科学や技術を融合した技術のこと。
 本共同研究では、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺被害の撲滅に向けて、AIと犯罪心理学を融合させたコンバージングテクノロジーの研究開発に取り組みます。

このページに関するお問い合わせ

危機管理安全局 危機管理安全部 生活安全課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館8階
電話番号:06-6489-6502
ファクス番号:06-6489-6686
メールアドレス:ama-seikatsuanzen@city.amagasaki.hyogo.jp