学校法人東洋大学・富士通株式会社と共同研究を実施

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印刷 ページ番号1030308 更新日 2025年4月22日

学校法人東洋大学・富士通株式会社と共同研究を実施

 尼崎市では、平成30年度から兵庫県警察本部等と連携のもと、特殊詐欺対策に取り組んでいます。
 今回、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺の撲滅に向け、学校法人東洋大学(注1)(以下、「東洋大学」という)と富士通株式会社(注2)(以下、「富士通」という)と連携して日本初となる共同研究を実施しました。
 本共同研究が、本市はもちろん、全国的な特殊詐欺の抑止に繋がることを期待しております。

1 研究趣旨

 尼崎市、東洋大学、富士通は、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺の撲滅に向けて、AIと犯罪心理学を組み合わせたコンバージングテクノロジー(注3)を活用し、被害者の判断力が低下していないかなどの心理状態を推定しリスクを可視化することで特殊詐欺を未然に防止する日本初の共同研究を実施しました。
 本共同研究では、還付金詐欺などの特殊詐欺を高精度に検知し未然に防止する特殊詐欺推定AIモデルの構築を目指してきました。

2 研究背景

 警察庁によると、令和5年における全国の特殊詐欺の認知件数は、前年比1,468件増加し19,038件で、その内、65歳以上の高齢者を標的とする特殊詐欺が78.4%と大部分を占めています。
 尼崎市では、警察、防犯協会等と連携し、現金自動預払機(ATM)のパトロールなどの特殊詐欺対策を強化する一方で、令和3年の特殊詐欺の認知件数は102件、被害総額は約9,700万円(いずれも速報値)と深刻化する中、さらなる対策として、令和4年より本共同研究を開始しました。

3 研究期間

 令和4年3月30日から令和7年3月31日までの3年間

4 研究内容

 特殊詐欺を高精度に検知するAIモデルの開発を目指す実験として、本市の高齢者を対象に、富士通が開発したヒューマンセンシング技術に基づく感情推定と、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を活用した実証実験を行いました。

実証実験1回目

概要

 実証実験1回目では、本市の高齢者を対象に、富士通が開発したヒューマンセンシング技術に基づく感情推定と、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を活用し、対象者が詐欺電話を体験するなかで、犯行に使用されるワードに、どのような反応を示すのかを捉えるとともに、反応時の心理状態を把握する実験を行いました。

実施日

 令和4年3月30日(水曜日)、31日(木曜日)の2日間に分けて、尼崎市役所庁舎内で実施しました。

実施方法
  1. 事前検証
     兵庫県警察協力のもと、特殊詐欺の音声から特殊詐欺特有のキーワードとパターンを分析し、実証実験で使用するリアリティのある特殊詐欺シナリオを事前に作成します。
  2. 実験当日
     事前に作成した特殊詐欺シナリオを基に録音した特殊詐欺グループを装った音声を対象者に聞いていただきます。
     その際、カメラ映像から人の行動を認識するAI技術「行動分析技術 Actlyzer」、顔の表情から感情などを推定する表情認識AI技術、顔の画像からリアルタイムに脈拍を推定するAI技術を用いて、対象者の顔の表情や脈拍などのデータをカメラやセンサーで捉えます。
     また、体験後に犯罪心理学の観点等を盛り込んだ事後アンケートにより、一連の体験のなかで対象者がどのような心理状態であったかを把握します。
  3. 実験後
     実証で測定した対象者のセンシングデータとアンケート結果から対象者の心理状態と身体状態の関係性を分析します。
     その分析結果を基に、対象者が騙された状態であることを推定し、還付金詐欺を検知する特殊詐欺推定AIモデルを構築します
1回目実験風景
1回目の実験風景

実証実験2回目

概要

特殊詐欺電話を受けた時の心理状態や生理反応と、騙された状態との関係性を明らかにするため実験を行いました。

実施日

令和4年10月

実施方法
  1. 心理学の検知を基に設計した特殊詐欺を模擬した詐欺電話により騙されやすい状況をつくることで、詐欺電話を聞いている時の心拍や呼吸などの生理反応を非接触センサー(カメラ・ミリ波センサー)を用いて測定します。
  2. アンケートによる緊張・混乱に関する心理状態の測定と、騙された状態であるかについてヒアリングによる確認を行い、関係性を分析します。

実証実験3回目

概要

特殊詐欺の手口を学習した最新の特殊詐欺訓練AIシステムからかかってくる電話に家庭内で対応してもらい、より日常に即した状況下で、特殊詐欺検知AIが解析を行い、詐欺電話を検出する検証を行いました。

実施期間

令和6年11月5日(火曜日)~29日(金曜日)

実施方法
  1. 特殊詐欺手口を再現した訓練AIツールから高齢者宅に電話があり、会話をしている際のバイタルサインを室内設置の非接触センサーと腕時計型センサーの両方で測定します。
  2. 事前アンケートや、体験時に各センサーが測定したバイタルサインを基に、心理状態を分析することで、特殊詐欺に対するリスクの高い低を識別できるか検証します。

5 研究における役割

 東洋大学:実証シナリオの作成、心理学に基づく分析、データ収集、特殊詐欺推定AIモデルの設計
 富士通 :実証シナリオの作成、実証方法の検討と実施、データ収集、特殊詐欺推定AIモデルの設計と開発
 尼崎市 :実証に係る協力者等の調整、実施場所等環境の提供

6 今後について

 複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺において共通的に活用できる特殊詐欺推定AIモデルの開発を目指す取り組みの中で得られた知見を基に、超高齢社会においても、高齢者が安心安全な生活を送れるように、特殊詐欺対策の情報発信や啓発活動を行って参ります。

注釈

(注1)学校法人東洋大学:所在地 東京都文京区 理事長 安齋 隆
 本研究では、社会学部長である桐生正幸教授のもと、東洋大学が開発した心理尺度を用いた感情状態の測定を行います。
(注2)富士通株式会社:本社 東京都港区 代表取締役社長 時田 隆仁
 本研究では、富士通株式会社の研究本部である先端融合技術研究所(神奈川県川崎市)によって、ヒューマンセンシング技術に基づく感情推定を行います。
(注3)コンバージングテクノロジー:特定の目的を達成するために2つ以上の異なる分野の科学や技術を融合した技術のこと。
 本共同研究では、複雑化かつ巧妙化する特殊詐欺被害の撲滅に向けて、AIと犯罪心理学を融合させたコンバージングテクノロジーの研究開発に取り組みます。

特殊詐欺防止訓練AIツール体験会の実施について

共同研究の中で開発された特殊詐欺防止訓練AIツールを用いた体験会を実施しました。

第1回体験会

実施日:令和5年11月30日、12月1日

場 所:尼崎市役所 本庁舎

第2回体験会

実施日:令和6年8月3日

場 所:あまがさきキューズモール

 

このページに関するお問い合わせ

危機管理安全局 危機管理安全部 生活安全課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館8階
電話番号:06-6489-6502
ファクス番号:06-6489-6686
メールアドレス:ama-seikatsuanzen@city.amagasaki.hyogo.jp