アスベスト対策会議の平成26年度議事録

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印刷 ページ番号1003880 更新日 2018年2月23日

第1回

日時

平成26年7月4日 午前11時から午前11時40分まで

場所

4-1会議室

出席者

18人

1.報告事項

1 各種調査について

(1)環境再生保全機構 石綿健康被害救済制度における平成18~24年度被認定者に関するばく露状況調査報告書について

(2)フィージビリティ調査について

清水医務監から資料に基づき説明の後、大学研究者の調査について言及。

前回のアスベスト対策会議において、大学と連携した調査を実施したいと申し上げたが、その後の進捗状況について説明する。

大学の調査グループから、尼崎市における中皮腫による死亡の実績・集積性等についての調査・研究のため、市に必要なデータの提供をお願いしたいという申し出があった。市としても、アスベストによる健康被害の現状を明らかにするために有益な調査ということで、協力すると申し上げた。

住民の基本データ及び死亡統計については、匿名化等の必要な加工は終了している。死亡小票調査については、罹患された方を訪問し、居住歴等の調査が必要であり、現在取り組み中である。終了次第、大学研究者にデータを提供し、解析していただく。

(以下、質疑等)

  • アスベストに関してはいろんな種類の調査があるが、(1)については、救済制度で認定された方の状況について、環境再生保全機構が定期的に出している。今年度の調査報告では、建設業の方に多く中皮腫の被害者が出ていることが報告されている。本日の報告案件の二つ目にもあるが、工事に係る大気汚染防止法の徹底は、街中に残るアスベストを処理する段階での徹底につながるため、認識を共有したい。
  • (2)については、国の資料によると、問診、レントゲン、CT検査等を継続して受けていただき、検診制度を確立するため、平成27年度からは、これまでの健康リスク調査を改めフィージビリティ調査を実施することとなった。有効な検診制度の確立に向けては、他都市と申し入れをしているが、現状をふまえて様々な提案をしていく。
  • それら国の調査とは別に、大学研究者の調査がある。市としては、死亡小票等、一定の基礎データを提供し、定期的に打ち合わせをしている。基礎的な部分では進んでおり、研究者は、死亡率が地域・住所によってどうなっているかというような、もう一歩踏み込んだ調査の実施に向けて動いている。ただし、因果関係の究明には影響を受けた人、受けていない人の比較対照調査が必要であり、客観的なデータを集積・分析することは難しい。国にも科研費を申請しているが、獲得できていない。こちらについては、いかに比較対象になりうる方々のインタビューの記録を取れるか、また、記憶が辿れるか、研究者の先生方と協議し、現在はその手ごたえを確認するための小規模な事前調査をしてみて、今後の展開を協議できないかという打ち合わせの段階である。記憶を辿るのは今でさえ難しいため、来年、再来年はもっと難しくなる。市としては、パイロット的なものでもやってみて、協議を続けていきたいと考えている。
  • このように、アスベスト関連の調査は様々あり、これを機会に整理し、情報共有していただいて、実現していない部分の進捗状況を報告していきたい。

2 アスベスト対策会議幹事会の報告について

(1)工事にかかるアスベストの明示方法について

(2)大気汚染防止法の改正を踏まえた対応について

藤川環境部長(アスベスト対策会議幹事会座長)から資料に基づいて説明

(以下、質疑等)

  • 市が取り扱う工事案件において、処理が徹底されていなかった事例があったため、再発防止に向けた具体策について、幹事会にて検討したことを前回の会議でも報告した。工事現場での測定による迅速なチェックとともに、資料の2-1のように図面の段階での確認及び現場での対応の徹底は、飛散の防止、環境ばく露を防ぐことはもとより、現場で働く方たちへの健康にも関わることであり、両面において非常に重要である。

3 その他

(1)要望書について

昨年9月9日、リスク調査参加六県市で、局長名での要望書を提出した。内容は、恒久的な健康管理の確立、リスク調査の結果をふまえた石綿ばく露特有の医学的所見がある者と事業所との距離関係などの分析及びデータ開示の3つである。文書による回答を求めたがまだ得られていない。今年6月19日に再度市から申し入れをした際に、文書ではなく口頭で回答を得た。その趣旨については、石綿による健康被害の特色として、ばく露から30~40年の長い潜伏期間を経て発症することに加え、当時は石綿が広範囲に利用されていたため、今になってばく露状況を明らかにして、健康被害の原因者を特定するのは困難である。そうした中で、被害者を隙間なく救済するため、国・自治体・事業者負担の今の救済制度ができたと理解してほしいところであり、現在、因果関係を明らかにするような調査や研究、情報公開は考えていない、とのことであった。中長期的な健康管理の在り方について、現在環境省の負担でリスク調査を実施しているが、全国的な制度となった場合は、自治体の負担が発生する可能性がある。

9月9日の要望書以外に新たな要望として、救済法と労災・公害補償の格差についてどう考えるか尋ねたところ、救済法はあくまで見舞金であり、趣旨が異なるため、原爆被害者等の他制度との比較で設定しており、現状で増額は困難とのこと。ただ、裁判等の判決で変わる可能性はある。

いずれにしても、要望活動は今後とも続けていく必要がある。内容・方法は検討していく。

(以下、質疑等)

  • 国への申し入れに関しては、なかなか突破口が開けていない状況である。これについては、現場の自治体から連携して粘り強く問題提起をしていくのはもちろん、そういった状況の中で、被害者が多く発生している尼崎市として今できることは何か考え、平行してやっていかないといけない、という方向で、各局ともご協力をお願いしたい。
  • その他資料はご清覧いただく。 その他、大気汚染防止法に関して、これまでは工事の施工者に責任があったのが発注者側の責任になったことが大きい。市は解体を含め、大量の工事を発注する主体でもあるので、この徹底については、幹事会等で具体策の推進等を進めていただいているが、市から新たにアスベストを飛散させることは許されない。民間業者が発注・施工の工事の場合は、立ち入り検査等、もう一歩何か踏み込むことはできないか。
  • 民-民間の契約であっても、法が適用される。発注者に届出の義務があり、届け出があった時点で、作業計画と法令遵守をチェックし、現場にて立ち会いを行う中で作業基準の遵守状況確認をこれまでもやってきたし、今後もしっかりとやっていく。
  • 機器の導入により、継続的に徹底してやってほしい。発注者サイドへの情報の周知徹底もお願いしたい。前回、村山副市長から意見があったとおり、尼崎市は他都市に先駆けて取り組んでいくべきと考えているので引き続き進めていきたい。

第2回

日時

平成27年3月12日 午後2時から午後3時5分まで

場所

4-1会議室

出席者

19人

1.報告事項

1 各種調査について

 (1)平成25年度一般環境経由による石綿ばく露健康リスク調査(尼崎市)委託業務報告書について

 (2)平成27年度からの国の「石綿ばく露者の健康管理に係る試行調査」について

 (3)中皮腫死亡小票調査(H20~H24)の実施について

2 国への要望「石綿ばく露の可能性がある者の健康管理について」

垂水保健所次長(清水医務監欠席による代理出席)より資料に基づいて報告(資料1-1、1-2、1-3、資料2)

(以下、質疑等)

  • 1(1)健康リスク調査については26年度で一旦区切りとなっており、毎年冊子で報告があるもの。調査結果のうち、胸膜プラークが確認できた124人のうち「その他」の64人、ここについては十分な救済が行われていないということ。労災認定された方については一定の補償があり、現在の救済法で生じている格差について、2にて報告のとおり、今回新たに国に要望を行うもの。尼崎は特に被害が大きい自治体と言わざるを得ない中で、こうした記憶、記録がどれだけ残せるかが課題である。ただし、発病との因果関係はわからない状況であり、1(3)の中皮腫死亡小票調査をすることで、そこをしっかりインタビューしていきたい。現在、専門家において調査しているところで、これに市も協力していこうと引き続き協議を続けている状態である。
  • 一方で、1(2)のとおり、27年度からは試行調査(フィージビリティ調査)として新たに実施するもので、西宮市、芦屋市が新たに実施自治体に加わる。このように実施自治体を広げる動きがあるが、一方で費用負担の問題も出てくる。この点については、国への要望等により、引き続き国の負担で調査できるようになっている。次に目指していくのは検診体制の全国化であり、現時点では数自治体が増えただけの状態ではあるが、方向としてはそちらに進んでいるので引き続き取り組んでいきたい。
  • また、環境省から新たな検診体制の構築にあたり、実施主体や実施体制及び既存の検診事業との連携等、具体項目について課題を抽出して、対応を考えていくことになっており、ここに現場から具体的な提案を上げていくことが大事だと思っている。患者や現場の医師会等からの意見を踏まえて提言していく必要がある。特に、読影の技術がある医師をどうやって増やしていくのか、全国展開で取り組んでいく必要がある。これは健康福祉局への指示となるが、今の時点で見えている課題については受け身ではなく積極的にまとめていくことをお願いしたい。試行調査に切り替わることも踏まえ、被害が多い自治体として、主体性を持って提案していく姿勢で27年度以降お願いしたい。
  • また、今回の報告は25年度分であり、来年の26年度分の報告を持って5年間の区切りとなる。来年は5年分を振り返った総括的な報告をお願いしたい。国への要望についても、まだ参加していない自治体もあるが、試行調査に新たに加わる自治体もあるため、近隣自治体と横の連携も含め取り組んでいってもらいたい。

3 アスベストの飛散防止について

藤川環境部長(アスベスト対策会議幹事会座長)より資料に基づいて報告(資料3)

(以下、質疑等)

  • 各所管において直接管理している建物がたくさんあり、古い建物も多く、アスベストを含有する可能性の高い建物が多い。後ほど報告があるが、今回、民間移管に係る保育所の関係で、外壁の塗料の中にアスベストを含むものも存在するということで、老朽化により剥がれた場合にどう対応すべきか問題になった件があった。17年度のクボタショック以降、飛散性のアスベストについてはすでに調査を行っており、建材等については図面等にも記載されているが、塗料や塗装については後付けで規制が強化されていたり、国の基準が定まっていないものがあったりする中で、今回は内規的に処理していこうとする取組である。最終的にフォローが不十分な面もあったことから、改めて案内するものである。いずれにしても、今回共有してもらいたいのは、塗料など新たなものが追加されてくる等、状況・情報が常に動いているので、施設の所有者が変わる、移管する等、引継ぎを行う際、当初の調査では含有がなかった場合でも、塗料などで見ていくと含有する可能性があり、規制情報などは更新されていくものである。幹事会等においても情報の徹底は行うが、古い情報のまま安易に引き継ぐことのないように、周知徹底をお願いしたい。また、尼崎市は被害が大きい都市として、すでに先進的な対応を行ってきており、非飛散性のものが普通の状態で危険というわけではないが、剥がれるなど、状況も情報も変わっていくことについて、意識しておいてもらいたい。

4 市道長洲線のアスベスト含有調査について

芝都市整備局長より資料に基づいて報告(資料4)

(以下、質疑等)

  • 通常は道路を掘っていくにあたってアスベストが出るようなことを法律上は想定していないものであるが、クボタから連絡があり、我々としては共同で自主的に自発的な判断において調査を行うもの。当然、出てきた場合は対応を行うということで進めていきたい。

5 浜保育園外壁のアスベスト含有調査・分析の結果報告について

山田こども青少年局長より資料に基づいて報告(資料5)

(以下、質疑等)

  • 分析結果に記載されている「リシン吹付塗材」というものが新たにアスベスト含有の可能性が出てきているものであり、国から明確な取扱基準が示されていない状態である。法人に渡した図面では、リシン吹付塗材が使われていることはわかるが、その塗材にアスベストが含有されているかまではわからないというもの。外壁以外については大丈夫という認識で図面を渡していたものである。
  • 飛散性のアスベストについては17年度に全市的な調査を実施しており、その時点での含有建材については調査を行っている。飛散性の物については既に除去等対処済みである。浜保育園については、当時の調査では飛散性アスベストがない建物であった。その調査結果や設計図書等については情報提供している。古い建物については、アスベストがどこにあるかは実際工事してみてから判明するケースもあるので、本来は法人が工事する中で対応するのが前提ではあるが、今回の外壁については、特に踏み込んで注意するような説明は行っていなかった。法人が予定している施設改修がより適切に実施されるよう対応しているものである。
  • 移管保育所が大規模改修を行うことが盛り込まれている中で、その際にはアスベストの対応に漏れがあってはならないため、特に外壁の含有物については図面上で確認して法人と情報共有しようということで今後の対応を考えている。また、こうしたことは保育所だけの問題でなく、我々が管轄している公共施設全般に同じことが言える。そうした点を再度しっかりと確認するように幹事会において再度周知しており、人事異動や所管替え、民間移管や指定管理化などの際には、こうした点において、しっかりと最新の情報を確認できるように徹底をお願いしたい。
  • 経年劣化による日常点検については「記録化」していくということで理解して良いのか。そうでなければ本当に点検したか確認できないため、確実に記録しておく必要があると思う。
  • 基本的にはまず、施設管理者が施設のどこにアスベストがあるのか把握しておいてもらいたい。そうした中で劣化等の状況を点検し、劣化が見つかれば対応を行っていく、という考えであり、当然、日常的な点検についても記録しておいてもらいたいと考えている。
  • 日常点検に係る共通フォームを作成しておく方が良いのではないか。
  • 今指摘があった問題、台帳などに記録を残していくのが大事であるため、どういう形で残すのが良いかについて内部で検討していきたい。
  • 今議論となっているアスベスト使用箇所というのは、外壁のことではなく、外壁以外のことではないのか。17年度に除去しきれなかった箇所が経年劣化しているということではないのか。
  • 吹付けアスベストに関してはその通りである。保温材に関しては、本来非飛散性であるが劣化して飛散する可能性があるので、レベル2である保温材の部分の確認、今回のレベル3に値する部分についても劣化する可能性や、撤去工事の方法によっては飛散の可能性があり、適正に工事していただくよう周知を図るものである。
  • 外壁はもともと調査していないため、外壁にあるかどうかわからないものの話ではないということか。
  • 図面で確認するもの。わからなければ、含有されているという前提で対応する必要がある。
  • 外壁の塗料について、各施設管理者がアスベスト含有調査を行うという主旨か。
  • 基本的には調査してもらいたいという主旨で周知したものである。
  • ただちに飛散するものではなく、改修工事等の際に対処が必要となるため、合理的な手法を考えていくべきと考えており、幹事会で検討したい。
  • 本来は移管先において実施してもらうのが原則であるが、今回の分は子どもの安全の観点から実施するものであり、公共施設全般については非常に大きいことであるため、それについては引き続き検討をお願いしたい。
  • 施工時期などによってもある程度わかるものもあるため、どの時期に建てられたか等も含めて確認していきたい。
  • 東高の解体にあたっての実際の事例で、アスベスト規制後の増築部分であるにも係らず、そこから見つかったという事例もあった。解体時には必ず調査を行うため見つかったもので、昔は施工性を高めるため、塗料にアスベストを入れて混ぜることで、粘度を高めていたような話も聞いた。こうした事例もあるため、解体の際は全て調査を行うべきと思う。
  • 解体の際の調査は義務付けられているが、塗材に関してなど国基準がないものもある中で、問題は日常の劣化である。本来危険性のなかったものが危険な状況になっていることは見過ごせないので、きっちりと点検すべきと考えている。外壁については、意識が追いついていないところもあったので、ここで注意喚起して確認・情報共有を行いたい。
  • そもそも、使用禁止の規制以降に使用しているのは違法ではないのか。在庫が残っている等の関係からタイムラグが生じるものか。
  • 基本的には幹事会で情報共有してもらっているが、それを担保するための具体的な取組が必要であり、「やってください」というだけでは徹底できない。
  • 予算措置も伴う。
  • その辺りは引き続き詰めてもらいたい。ただし、特に大量にこうした事例が発生しているというわけではない。
  • 日常点検は普段の努力次第である。
  • 日常的に意識せず対応してしまった後でダメだったということにならないよう、もう一息、その辺りの協議を詰めてもらいたい。次の対策会議の開催時期もあると思うが、この件については詰まり次第実務を走らせてもらいたいので、出来次第、情報共有の場を持ってもらいたい。保育所の件は民間移管との兼ね合いもあり、別途先行的に対応していきたい。

6 その他

アスベスト対策会議の設置期間について

稲村市長より報告

現在、この会議の設置期間は27年3月末までとなっているが、アスベストの問題については、状況に応じた対策が必要であり、何よりも患者さんの健康状況、潜伏期間が長いこと等もあり、今後も出てくる恐れも高い。こうしたことから、まだ会議の役割を終えるわけにはいかない。27年度からの新しい調査についても5年間を予定しており、これまでのように設置期間を少しずつ延長するのではなく、一旦設置期間を撤廃したいと考えている。状況が落ち着くことがあればその時に見直せば良いが、現時点では設置期間を撤廃して継続することとしたことを報告する。

(以下、質疑等)

  • リスク調査について、これまで10年間実施してきて、改めてフィージビリティ調査の内容を見ると、それほど変わらないように思うが、これまでより深まったものなどあるのか。
  • おおまかにはこれまでと変わっていない。新たに変更となったのは、保健指導について、これまでも行っていたが、ある程度指針のようなものが示され、全国的に同じレベルで実施するというのが1点、もう1点はレントゲンの撮影について、これまではリスク調査の中で単独で行われていたものを肺がん検診を利用して実施するということで、将来的な展開も考えての変更が行われたものである。
  • 一定の仮説があって、指針を立てるものであったり、新たに取り組むプロトコルのようなものがあって、それを検証していくということではないのか。
  • そういうことではないが、医学的な健康管理の知見の方向性が一定固まってきたため、それを展開する際のおもに実務面をどう検討していくかということである。
  • 27年度はクボタショックから10年経過するなど、多くの節目の年でもある。それらを踏まえて、被害の多い自治体として、しっかりと取り組むことを改めて確認し、お願いしたい。

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