令和6年度 施政方針

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印刷 ページ番号1033609 更新日 2024年2月29日

施政方針演説

 第19 回市議会定例会の開会にあたり、令和6年度の市政運営に対する所信を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解、ご賛同を賜りたいと存じます。

一 はじめに

 令和6年1月1日に発生した能登半島地震で亡くなられた皆様に対し、心より哀悼の意を表するとともに、今なお、避難を余儀なくされている皆様に対してお見舞い申し上げます。
 尼崎市としても、発災直後から、兵庫県や関係市町と連絡を取りつつ、被災地支援に向けた取組として、これまで職員の派遣や支援物資の提供、公営住宅の確保並びに義援金の募集などを行ってまいりました。
 約30 年前、本市も、阪神・淡路大震災を経験しました。その際には、全国の多くの皆様から、多大なるご支援をいただき、また、励まされ、互いに助け合うことの大切さを学びました。
 今回は、私たちが支援する立場です。

 「必ずや能登半島は復興する。」

 そのような思いを持ちながら、今後も、被災地に対して、最大限の支援を行ってまいります。


 尼崎市長に就任してから1年あまりが経過しました。この1年間は、これまでの政策を振り返りつつ、公約や所信表明演説でお約束をした政策の「5つの柱」の具体化に向け、スタートダッシュをかける重要な期間と位置付け、市民の皆様や職員と精力的に議論を行ってきました。
 施策の具体化にあたっては、公約で掲げた基本姿勢である「対話重視」、「実行力」、「誰一人取り残さない」を強く意識してまいりました。

 政治は、社会を映す鏡です。
 理想を掲げながら、市民の声を丁寧に伺い、現実的に、一歩一歩、改善を図っていくプロセスが必要です。

 今年度は「車座集会」を4回開催し、市政報告会を6か所で開催しました。様々な懇談にも足を運ぶ努力をしてきました。
 「対話」を通じて得られる生活者としての市民の息遣いや願い、事業者の声を丁寧に受け止め、「誰一人取り残さない」ための取組を進める努力を続けてまいります。
 また、執行機関の長として、市民の皆様から伺った「声」を具体的な施策につなげる「実行力」を重視し、目の前にある課題を一つひとつ乗り越えてまいります。

 この1年、職務を通じて強く感じていることがあります。
 ・社会課題の解決のために、自ら行動を起こしているたくさんの市民や事業者の存在
 ・長年の財政改革のなかにあっても、モチベーションを高く保ち、「知恵」を出し、市民とともに
  施策を推進してきた職員の存在
 ・住宅ストックを含め、高度経済成長期までに整備されたインフラの更新時期が訪れ、官民にわた
  って、これに伴う「フロー効果」が出始めていること

 今、再び、訪れつつある尼崎の成長の「波」。
 波を読みながら、サーフボードに両足を乗せ、上手に、その波に乗ることができれば、間違いなく、尼崎は、誰にとっても「住みたい」、「住んでよかった」と思えるようなまちへと、そして、寛容で、多様性に溢れ、創造性豊かな「人が集まるにぎわいのあるまち」へと成長できると確信しています。
 皆様とともに、「可能性」に満ち溢れているこの尼崎を成長させ、「次のステージ」へと上げていく。
 
 そのかじ取りを、私が先頭に立ち、組織一丸となって行ってまいります。

 こうした基本姿勢のもと、令和5年度は、総合的な子ども・子育て支援の充実、抜本的な住宅施策の強化、ものづくりを中心とした創業支援の強化、まちのイメージの向上、情報セキュリティ・DXの推進など、各分野における検討体制を整え、施策評価や予算編成と並行して、組織横断的にメリハリのある施策の具体化に向けた取組を進めてきました。
 昨年末には「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」や「あまがさき共創DXプラン」を、年初には「子育て世帯の定住・転入に向けた良好な住環境形成のための住宅施策パッケージ」を取りまとめ、各分野における施策パッケージも公表しました。
 令和6年度は、こうした様々な政策の方向性を、具体的な施策として「実行・実現」させるフェーズです。
 施策評価などを通じて丁寧に効果を見極めるなど、フォローアップを強く意識し、時には、柔軟に軌道修正を行いながら、尼崎の持続的な成長に向けた取組を着実に進めてまいります。

二 令和6年度の重点項目

 それでは、令和6年度予算編成の主な事業について申し上げます。

 令和6年度予算は、私が市長に就任し、初めて通年で編成に関わった予算となります。
 まちづくりの羅針盤である「第6次尼崎市総合計画」。その推進ツールとしての施策評価を通じ、昨年度までの施策の成果と課題を丁寧に確認しつつ、これまでも、本市の最重要課題として掲げてきたファミリー世帯の定住・転入促進策の抜本的強化など、尼崎の長期的な成長に向けた骨太の取組の方向性を、次年度予算に反映させることを意識してまいりました。
 令和5年の本市の人口動態において、社会動態は約1,800 人の増加となりました。これは、社会動態が減少に転じた昭和44 年以降で最も高い数字となります。
 加えて、令和5年のファミリー世帯の転出超過数も令和4年から半減し、統計を取り始めた平成24 年以降、最も少ない数字となりました。
 また、市民意識調査において、「尼崎市のイメージがよくなった」と回答した市民の割合が6割を超え、過去最高となるなど、鉄道駅を中心とした官民一体のまちづくりをはじめとする本市の各取組の成果が、統計として表れ始めてきています。

 尼崎市に起きているこの前向きな流れをさらに加速させ、強固なものに変えていく観点から、
 ・子育てに係る支援と環境の充実
 ・まちの魅力向上に向けたエリアブランディングやマナー向上の推進
 ・地域経済の活性化と雇用促進・人材育成
 ・市民サービス向上のためのDXの推進
 の4つを重点項目と位置付け、これらの項目を中心に予算編成を行いました。

1. 子育てに係る支援と環境の充実

 まずは、子育てに係る支援と環境の充実です。

 労働力人口が大幅に減少しているなかで、官民が一体となった「働き方改革」や女性の活躍推進、保育環境の充実などの取組もあり、共働き世帯が増え、今や、専業主婦世帯の2倍以上となっています。
 また、このような働き方や子育てスタイルの変化に伴い、専業主婦世帯が多数を占めていた時代における郊外型から、より利便性を追求する都市近郊への居住を志向する世帯が増えてきています。
 本市においても、こういった流れのなかで、JR尼崎駅やJR塚口駅を中心としたマンション群の建設が進んだことなどにより、共働きをしながら子育てをしている世帯数が増えています。

 今後も、労働力人口の大幅な減少と都市の「コンパクトシティ化」がさらに加速することが予想されるなか、大阪からも神戸からも近く、かつ、市内に駅が13 か所ある利便性の高い本市は、今後、「働く場所」に加え、「住む場所」としてもさらに評価されるポテンシャルを有しております。

 このような観点から、昨年11 月には、これまでの「産業都市尼崎」の伝統と歴史も引き継ぎつつ、「『働く』も『子育て』も応援するまち」をコンセプトに、今後3年間で40 のアクションに50 億円の投資をするための「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」を策定し、子ども・子育てに伴う「経済的負担」、「時間的負担」、「心理的負担」の3つの負担の軽減を目指すこととしています。

 まず、令和6年度には、阪神間他都市と比較して高額となっている階層の保育料を、阪神間他都市水準以下に引き下げます。
 また、保護者の多様な働き方に対応するため、児童ホームの開所時間を1時間延長し、保護者の時間的な負担を軽減します。あわせて、児童の出欠把握や入退室記録の集計等のシステム化、Wi-Fi環境の導入を実施し、より効率的な児童ホームの運営に取り組みます。

 待機児童は、保護者の「働く」に直結する喫緊の課題です。一方で、保育士の負担や保育士確保が大きな課題となっています。待機児童ゼロの実現と保育士確保の両立に向け、法人保育園等が保育補助者を雇用する際に必要な経費の一部補助などを行います。

 さらに、産後の母親の身体的な回復と心理的な安定の促進を図り、母子とその家族が健やかに育児できるよう、産後ケアの充実にも取り組みます。
 これまでの支援内容に産婦の休息などを加えた「通所型」と「宿泊型」を新たに追加するとともに、既存のメニューである「訪問型」の対象者を、希望するすべての産婦に拡充します。

 子育て支援の充実とあわせて、学校教育の充実に向けた取組も、着実に歩みを進めてまいります。
 令和5年度は、全国学力・学習状況調査において、小学6年生の結果が調査開始以来初めて、目標とする全国平均に達しました。今後も引き続き、学力向上に向け取組を推進していくとともに、児童生徒一人ひとりに寄り添った教育に取り組んでまいります。

 また、いじめ重大事案が発生した際などに、弁護士から専門的な助言を得て、当事者に寄り添った丁寧かつ適切な対応を行い、早期解決につなげられるよう、スクールロイヤーを設置します。

 令和4年度の文部科学省の調査では、小・中学校における不登校児童生徒数が全国で約30 万人と過去最高となるなか、本市の不登校児童生徒の割合は、全国よりもさらに高い割合で推移しています。
 不登校となっている子どもたちの多様な学びの場の確保に向け、それぞれの子どもの状況に応じたきめ細やかで多層的な支援体制をさらに強化すべく、これまで行ってきたスクールカウンセラー等による支援、ほっとすてっぷ・サテライト教室、ハートフルフレンド事業に加え、新たに、「校内サポートルーム・エリア」の整備を進め、教室での学びにしんどさを抱える子どもが、学校内の落ち着いた空間で、自分のペースで学習・生活できる居場所を確保します。

 あわせて、現在の義務教育制度の運用そのものを、基礎自治体から多様化していく取組を進めてまいります。今後、通常の学校に通うことが困難となっている子どもの状況に応じた柔軟なカリキュラムの編成が可能な「学びの多様化学校」の設置に向け、その在り方を早急に検討してまいります。
 また、そうした子どもの社会的な居場所となっているフリースクールについて、兵庫県内で初めてその利用料の一部補助を導入するなど、子どもの孤立を防ぐ居場所づくりに取り組みます。

 さらに、学校園のトイレの洋式化を進め、令和9年度に設置率80%を目指します。また、インクルーシブ教育を推進するため、配慮が必要な児童生徒が在籍・進学予定の学校のエレベーター設置に向けた設計を行います。

 最後に、就学前教育についてです。本市では、「就学前教育の質の向上」、「インクルーシブ教育の推進」、「幼稚園・保育所と小学校の円滑な接続」の3つの柱を盛り込んだ「尼崎市就学前教育ビジョン」をこの2月に策定したところです。
 今後、市立幼稚園が、その強みを生かし、本市における就学前教育の水準を示す役割を果たすためにも、各関係機関等と連携を深めつつ、「尼崎市就学前教育ビジョン」の推進を図ってまいります。

2. まちの魅力向上に向けたエリアブランディングやマナー向上の推進

 次に、まちの魅力向上に向けたエリアブランディングやマナー向上の推進です。

 本市の交通利便性や生活利便性の優位性が改めて注目され、近年、住みやすいまちとしての評価が高まりつつあります。ファミリー世帯に「住みたいまち」と思っていただくためには、良好な住環境整備が非常に重要であるとの考えのもと、令和5年度に設置した「住環境アドバイザリーボード」の意見を踏まえ、住環境整備にあたっての考え方や具体的な取組内容について「子育て世帯の定住・転入に向けた良好な住環境形成のための住宅施策パッケージ」として取りまとめました。

 このパッケージでは、「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」と連動しながら「働く」も「子育て」もしやすいまちを目指して、良好な住環境の形成に取り組むこととしています。令和6年度は、兵庫県と連携し、新築・中古の戸建て住宅の取得に係る費用や、空きテナントを活用した子育て支援施設の開設に係る費用の一部助成を行うなど、民間住宅の誘導を図っていきます。

 さらに、市営住宅を活用したファミリー世帯の入居促進策として、市営住宅の入居要件を緩和するなど、経済的負担の軽減を図ることで、市外からのファミリー世帯の転入を促進し、将来的な定住につなげていけるよう、公共用地の有効活用に取り組んでまいります。

 本市ではさらなるまちの魅力と活力の創生に向けて、鉄道駅を中心としたエリアごとに、地域特性に応じたまちづくりと情報発信をあわせて行うエリアブランディングを推進しています。

 魅力ある駅前空間を目指し、令和6年度は、阪神尼崎駅北側の中央公園西側部分のリニューアル、居心地よく歩きたくなる空間に向けた阪急塚口駅前の整備や阪急園田駅前の道路拡幅とあわせた整備などを予定しています。

 また、官民連携により民間のノウハウを活用しながら地域のにぎわいを創出するため、北図書館を大井戸公園に移転整備するとともに、公園のリニューアル、子育て世帯に優しい周辺歩道の整備、新たな男女共同参画社会づくり等の拠点の整備などを一体的に行い、南武庫之荘エリアの魅力向上に向けた取組を進めます。

 加えて、駅を中心としたエリアごとの特色あるまちづくりの推進を目的に、エリアの特色を「うわさ」として発信することで、地域に愛着のある市民の増加や、エリアで進んでいる事業の認知度の向上を目指します。

 開園から40 年が経過し、老朽化が課題となっている農業公園については、今後、農業体験や環境学習、「あまやさい」を通じた農業振興の拠点として活用できるよう、令和8年度のリニューアルオープンを目指して、設計に着手します。

 まちへの誇りや愛着を高めるために、まちのイメージの向上は、極めて重要です。
 本市では、過去に8か所もあったと言われている暴力団事務所が、住民や警察と連携した排除活動が功を奏し、今、ゼロとなっています。

 「二度と暴力団事務所を作らせない」という覚悟のもと、市内全域での暴力団事務所の運営禁止や、運営禁止違反に対する中止命令及び罰則等を課すための規定整備を進め、引き続き関係各所と連携して取組を推進します。あわせて、旧かんなみ新地の土地建物の買い取り・取り壊しを引き続き進めるとともに、取得に時間を要する建物については、周辺地域のイメージの向上に資する利活用に向けた取組を進めます。

 また、受動喫煙とポイ捨てのないまちを目指し、歩きたばことポイ捨て禁止の徹底や、まちの美化、望まない受動喫煙を発生させないまちづくりに向けた啓発活動体制を構築し、指導強化を行うとともに、令和7年度からの過料徴収に向けた条例改正の準備や普及啓発に取り組みます。

 最後に、本市が力を入れて取り組んでいる子ども・子育て支援についても、その取組項目をよりわかりやすく整理し、本市が子育てしやすいまちであることをPRできるよう、特設サイトを新たに作成することで、本市での子育てをより具体的にイメージしていただき、まちのイメージの向上、ファミリー世帯の定住・転入の促進につなげていきます。

3. 地域経済の活性化と雇用促進・人材育成

 次に、地域経済の活性化と雇用促進・人材育成です。

 尼崎には、ものづくりへの情熱に溢れた技術者がいます。技術者のアイデアと技術とが融和し、新たな商品が生まれる。そして、それが新たなビジネスとなり、地域経済を豊かにしていく…。
 私たちは、そういった技術者たちの情熱に、心から敬意を払っています。

 「ものづくりをするなら尼崎」

 尼崎市は、ものづくりの世界を新たに切り拓こうとする人財を応援するまちを目指します。

 市長就任後、産学官金の連携の枠組みである「産業政策会議」を立ち上げ、新規創業支援や企業誘致について議論をしてきました。
 ものづくり総合支援拠点である「オープンイノベーションコア尼崎」を設置し、年間100 件のイノベーション創出支援を行ってまいります。

 あわせて、新規投資を促す観点から、今後、分譲が予定されているフェニックス事業用地をはじめ、本市の産業用地への戦略的な企業誘致や、既存企業が思い切った設備投資等を行える環境を作るため、兵庫県と連携を図りながら、「産業政策会議」において、企業投資活動促進制度の見直しについても検討を行い、早期に結論を出していきます。

 さらに、女性の正規雇用率が年齢とともに低下していくL字カーブの解消に向け、職業能力開発支援の取組強化と就職支援を行い、女性が活躍できる環境整備を進めます。あわせて、中小企業におけるリスキリングの取組状況やニーズ等の調査を行い、その支援の検討を行います。

 「あま咲きコイン」については、令和6年度も引き続きプレミアムキャンペーンを実施し、利用者の拡大や流通額の増加につなげることで、地域内経済循環のさらなる促進を図ってまいります。

 新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類感染症」に移行されたことに伴い、多くの外国人観光客が再び観光地に戻りつつあります。
 また、令和7年には大阪・関西万博の開催が予定されており、今後、さらなる外国人観光客数の増加が見込まれます。

 尼崎城において、展示の充実とあわせて、英語版パンフレットの作成を行い、インバウンド需要の獲得を目指します。また、商店街においても外国人が受け入れられるよう、ホームページの多言語対応や外国人向け接遇マニュアルの作成などに係る費用の一部を補助し、まち全体で外国人観光客を「おもてなし」してまいります。

 令和7年3月にゼロカーボンベースボールパークとして阪神タイガースファーム施設が本市に開設されます。オープン前の機運醸成の取組を強力に進め、施設のPR、施設周辺周遊ツアー・施設内覧会の実施などに取り組んでいきます。また、大物公園のリニューアルに加え、大物川緑地の再整備を実施するなど、小田南公園周辺を起爆剤とした南部地域の活性化に取り組んでいきます。

4. 市民サービス向上のためのDXの推進

 次に、市民サービス向上のためのDXの推進です。

 昨年12 月に「市民と職員に寄り添い、ともに創る共創型スマートシティ」をビジョンに掲げた「あまがさき共創DXプラン」を策定しました。このDXプランに基づき、これまで本市が培ってきた「協働」の理念を生かしながら、市民、職員のニーズに寄り添うDXの推進に取り組みます。

 令和6年度は、市民の皆様の声をより幅広くお伺いするためのアンケート調査の一元化や、市民向け・事業者向けのオンライン申請数の倍増に取り組みます。また、市役所内部の業務効率化を行い、業務プロセスの見える化と課題抽出による抜本的改善を進め、令和7年度末までに1万時間の業務改善を目指します。さらに、試験のデジタル採点システムを導入し、教職員の負担軽減を進めます。

 新たな組織として「情報システム担当」を設置し、庁内のDXを部局横断的に進めるための体制強化もあわせて行います。

5. 次のステージに向けた様々な取組

 このまちの魅力をさらに高め、「あまがさきを次のステージに」進めていくために、これまで申し上げた重点項目のほかにも、様々な取組を進めていきます。

 令和6年度は、これまでから取組を進めている、複雑・複合化した課題を抱える人への重層的支援をさらに推進します。
 地域住民の多様な支援ニーズに対応し、支援の必要な方が安定して日常生活を送れるよう、現在の住居を失うおそれのある方に対し、入居支援相談、居住安定の継続支援などに取り組みます。

 近年、外国籍住民が増加しています。言語や文化の壁、習慣の違いなどを乗り越え、互いの文化的違いを認め合い、ともに同じ尼崎に暮らす市民として地域を支え合う社会の実現に向け、「尼崎市多文化共生社会推進指針」の策定を進めます。

 物価高騰の影響により、令和6年度から小学校等の学校給食費の改定を予定していますが、保護者への負担軽減を図るため、令和6年度については、学校給食費を据え置きます。

 尼崎市公設地方卸売市場の再整備にあたっては、民間事業者から、より自由度が高く、市場の持つ立地優位性や交通利便性を踏まえた、にぎわいの創出や地域貢献につながるような提案を受けながら、地域住民の理解を前提に、地元に愛される施設となるよう、丁寧かつ着実に取組を進めてまいります。

 最後に、投資的事業です。
 令和6年度は、地域主体の多様で自由な利用を可能とする協働型公園を目指し、大庄西中学校跡地の公園整備の設計に着手します。また、武庫体育館と老人福祉センターの機能を統合した武庫健康ふれあい体育館の供用を開始する予定です。

 休日夜間急病診療所の建替えにあたっては、充分な待合スペース、駐車スペースの確保、感染症対策の実施ができるように工夫しながら、令和7年度中の供用開始を目指し、令和6年度から工事に着手します。

 今後とも、必要な投資を行いながら、さらなるまちの魅力と活力の創生に向け、彩り豊かなまちづくりを推進してまいります。

三 令和6年度予算

 以上、市政運営に向けての基本的な考え方と、令和6年度当初予算に盛り込んだ主要事業等について申し上げました。

 この結果、令和6年度当初予算は、

 一般会計 2,292 億500 万円
 特別会計 1,048 億2,730 万5 千円
 企業会計 1,071 億9,043 万1 千円  となっています。

 「財政運営方針」に示した財政規律、財政運営の目標とルールを踏まえた予算を編成し、公債費に起因する収支不足に対応するために減債基金を取り崩すことで、実質的な収支均衡予算を確保いたしました。また、本市の財政運営において、長きにわたって課題となっていた将来負担についても、これまでの教訓を踏まえ、適切に管理をしているところです。

 今後も、市税収入率の向上などによる歳入確保に努めるとともに、市債の早期償還や基金の活用により財源を確保し、規律ある財政運営と、魅力あるまちづくりに向けた投資の両立を図ります。

四 むすびに

 私が、困難に直面した時に、いつも大切にしている言葉があります。
 アメリカのラインホールド・ニーバーという牧師の言葉です。

 「変えることのできることについて、それを変えるだけの勇気を与えたまえ。変えることのできな
  いことについて、それを受けいれる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできることと、
  変えることのできないことを、見分ける知恵を与えたまえ。」

 自分たちの力で変えられることと、変えられないことを、冷静に見分け、自分たちの力で変えられる事柄については、すぐに行動を起こし、変えていく。

 このことは、私たちが仕事をしていく上で、極めて大切な示唆を与えてくれていると思っています。
 市役所職員においても、様々な政策課題を前に、物事を柔軟に考え、仕事の仕方を工夫し、自ら行動を起こすことができるよう、職員の人材育成にも努めてまいります。
 今後、予期せぬ様々な困難・危機も発生するかもしれません。
 市民の生命と財産を守ることを最優先に、そして、持続的な尼崎の成長に向けて、今年も、お約束申し上げた基本姿勢を大切にしつつ、着実に職務に邁進してまいります。

 どうぞ、議員の皆様、市民の皆様、引き続き、ご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

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