令和8年度 施政方針
印刷 ページ番号1033609 更新日 2026年2月18日

第4回市議会定例会の開会に当たり、令和8年度の市政運営に対する所信を申し上げ、議員の皆様及び市民の皆様の御理解、御賛同を賜りたいと存じます。
1 はじめに
(3年間の取組実績)
昨年12月で、私が市長に就任してから3年が経過しました。
1年目は、「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」の策定や「産業政策会議」の設置など、政策プランの策定及び市長直轄の政策会議の設置等を通じて、組織全体が同じ方向に向いて政策の企画・立案ができる環境の醸成に意を用いてまいりました。
2年目は、これらの政策プランを「予算」や「条例」として具体化し、しっかりと「実行・実現」していく1年としました。
そして、3年目は、政策の効果を市民の皆様に実感していただき、変わりゆく尼崎の姿を目にしていただける年にしたい、そういう思いを込めて「幕開け」の年と位置付け、施策を推進してまいりました。
これまでの3年間で、
- 子育て世帯の「経済的負担」、「時間的負担」、「心理的負担」を軽減し、「働く」も「子育て」も応援するまちへと発展させていくための集中投資
- 良好な住環境を形成するための住宅施策の推進
- 「オープンイノベーションコア尼崎(OIC)」の設置をはじめとする産業イノベーション環境の醸成
- オンライン手続の充実等の行政DXの推進
- 暴力団排除条例の改正や路上喫煙対策としての過料徴収等のまちのイメージ向上に向けた取組
など、様々な施策を展開してきました。
ハードとしての「街並み」も、大きく変わりつつあります。
阪神尼崎駅前中央公園のリニューアル、小田南公園再整備事業に伴うゼロカーボンベースボールパークの開設、そして、休日夜間急病診療所の移転・改築、地域の拠点となる公園の整備も着々と進めています。
多くの皆様の御尽力によって、一つひとつ、大きなプロジェクトが確実に前に進んでいます。
人口動態に目を向けると、転入が転出を上回る社会増が続いています。
令和7年は3,335人の転入超過という、昨年を大きく上回る水準となり、自然減を差し引いた全体で「人口増」を実現しました。
もちろん、急激に増加する外国籍住民への対応は急務ですが、日本人の転入者も昨年以上に増加し、県下1位となったことは、我が国全体の人口が減少している中でポジティブに捉えるべき傾向であることは間違いありません。
これまでの施策の積み重ねと市民の皆様の努力によって、尼崎は確実に良くなっています。
この流れを更に加速させ、「“あまがさき”を次のステージに」導き、「豊かなあまがさき」を実現するための旗振り役として、全力を尽くしてまいります。
(政策への思い)
今年は私にとって「総まとめ」の1年になります。
「政策」は、市民のものです。財政は、社会を持続可能なものとするための、人間の「智慧(ちえ)」の集約でもあります。
「これまでの尼崎の課題を克服し、尼崎の強みを更に伸ばす」
令和8年度予算は、これまでの取組の成果を土台とし、更なる高みを目指した政策を実現させ、市民の皆様に「尼崎市の政策のステージが変わった」と実感いただけるものにしてまいります。
- 不断の改革・見直しを行いつつ、これまでの厳しい行財政環境の中で立ち遅れてきた政策や事業を確実にキャッチアップし、今後の市政発展に向けた取組へ積極的に投資する
- 物価高にある現下の社会情勢を踏まえ、市からの委託や補助等の官公需についても適切に対応する
こうした姿勢を大切にしながら、全体の政策水準を確実に向上させてまいります。
また、決算剰余や国の補正予算を積極的に活用した取組についても、「スピード」感を持って対応してまいります。
(政策実現プロセスへの思い)
選挙でお約束した「対話重視」、「実行力」、「誰一人取り残さない」。この3つの基本姿勢は、変わらず、私自身の行動規範です。
この基本姿勢を基に、市民の声を「政策」へと昇華させる力こそ、市長に求められる最も重要な資質です。
一方で、市政運営には「安定性」や「計画性」も求められます。法令に基づく行政計画が策定され、その計画によって予算配分や事業が組み立てられている分野も多くあります。
「政治」が市民を受け止め政策へと昇華させていくプロセスは、短期的には行政運営の「安定性」や「計画性」とぶつかる場合もあります。
政治は「大衆迎合」とも異なります。
昭和35年に発足した池田勇人内閣は、「寛容」と「忍耐」を基本姿勢に据えました。
この3年間、時には職員とも侃々諤々(かんかんがくがく)の議論を重ねながら、政策の方向性を定め、具体的な施策へとつなげてきました。
常に、議論の真ん中に置くべきは、「自分達の政策が市民生活の改善、未来の市政の発展につながるか」です。
行政組織内部での政策検討においても、一寸たりとも思考を停止させず、また、受け身にもならず、忌憚(きたん)なく、かつ、丁寧な議論を行い、政策の妥当性を検証するためのデータ収集と整理、国内外の政策に関する情報収集を怠らず、市民の皆様に対してしっかりと説明責任を果たせる、足腰の強い組織文化の醸成を目指してまいります。
今後とも、組織一丸となって、議会の皆様ともしっかりと議論を重ねながら、政策を進めてまいります。
2 令和8年度の重点項目
それでは、令和8年度予算の主な事業について申し上げます。
(1) 安心して働き、子育てができる環境づくりと子どもの育ち支援の充実
まずは、安心して働き、子育てができる環境づくりと子どもの育ち支援の充実です。
これまで、「子ども・子育てアクションプラン」に基づき、保育料の負担軽減、待機児童解消、子ども医療費助成や病児・病後児保育サービスの拡充など、着実に施策として実現してきました。
この取組に完成はありません。引き続き、子育て支援策の充実を強力に進めていきます。
(経済的負担の軽減)
国において「いわゆる給食無償化」のための予算措置がなされることを受け、8年度の小学校給食の保護者負担をゼロとします。また、このタイミングに合わせ、物価高騰対策に係る国の交付金を活用し、尼崎独自の取組として、中学校給食の保護者負担を半額まで軽減します。
9年度以降の給食費の保護者負担については、来年度の予算編成プロセスで方向性を明らかにしてまいります。
これまで長年の行財政改革の中で、十分に対応できてこなかった課題のキャッチアップを図ります。
法人保育施設や私立幼稚園において特別な支援が必要な子どもを受け入れた場合の加配職員に係る費用補助を拡充し、インクルーシブ保育・教育体制の充実を図ります。
また、扶助的要素が強い経費については、国や他都市と同等の水準を維持し続けられるよう、今回の予算編成過程から各部局における財源確保や予算要求のルールを見直しました。その中で、国の標準単価と差が生じている就学援助費の支給金額等について、標準的な水準まで引き上げます。
「子ども・子育てアクションプラン」の残された項目である「多子世帯支援」の充実も図ります。
訪問型の病児・病後児保育サービスに係る第3子以降の会費を無償にするとともに、保育所入所調整において子どもの人数に応じた加点をすることにより、兄弟姉妹が同じ保育所に入れる条件整備を進めます。
待機児童が課題となっている児童ホームについては、8年度から浜・武庫の里児童ホームのクラス増設に取り組みます。昨今の利用希望状況を踏まえると、今後、抜本的な待機児童対策の強化が必要と認識しています。更なる待機児童の解消に向け、来年度年央を目途とする具体的なアクションプランの策定を視野に入れて検討を進めます。
来年度には、尼崎市女性センター「トレピエ」内に、託児機能を備えたコワーキングスペースを新たに設置します。
子どもを預けながらテレワークを行える環境を提供するだけでなく、コーディネーターを配置し、子育て中の親の育休復帰、就労・再就職に向けた準備等に係る支援を行います。
働きながら子育てをする親への支援があって、初めて「子育てにやさしいまち」となります。
尼崎は、引き続き、「働く」も「子育て」も応援するまちを目指してまいります。
(児童相談所の開設)
4月には、いよいよ児童相談所が開設します。
児童虐待を含む様々な困難を抱える子どもとその家庭への「予防的アプローチ」の支援に重点を置いた子どもの育ち支援センター「いくしあ」と、新たに開設する児童相談所を一体的に運営し、児童虐待等の未然防止から緊急的対応、その後の自立に至るまで、切れ目のない一貫した支援を実現します。
「里親支援センター」を設置し、里親支援の取組を充実させます。一時保護所においては、子どもの意見表明を支援し、子どもの権利擁護に係る取組を強化するなど、尼崎ならではの児童相談所の設置運営に取り組みます。
(学校教育の充実)
次に、学校教育の充実です。
不登校支援については、これまで、ハートフルフレンド事業、ほっとすてっぷ、サテライト教室、フリースクール等の利用支援補助など、子どもの状態に応じた支援メニューを段階的に充実させてきました。
これらに加え、8年度は、学びの多様化学校である「尼崎琴葉中学校」を開校するとともに、「校内サポートルーム・エリア」の小・中学校全校設置も完了させ、不登校支援の更なる充実を図ります。
部活動の地域展開として、尼崎独自の取組である直営地域クラブ「アマカツクラブ」の活動経費に対する補助や夜間照明等の活動環境の整備を行い、将来にわたって生徒が持続的にスポーツや文化芸術活動に親しむ機会を確保してまいります。
学校体育館への空調整備も加速させ、10年度までの3年間で、全ての小・中・高等学校の体育館・武道場等へ設置します。現に使用している普通教室・特別教室への設置は既に完了しており、今回の整備の完了をもって、児童生徒が授業で使用する学習諸室への空調整備は、全て達成されます。
あわせて、トイレの洋式化やエレベーターの設置、施設の長寿命化等も進め、着実に学校施設の改善を図ってまいります。
8年度は、「子ども・子育てアクションプラン」の最終年度となります。
残された課題の解決に全力で取り組み、これまでの取組を評価・総括しながら、更なる子育て支援の充実を進めてまいります。
(2) まちの価値を高める良好な住環境形成とエリアブランディングの推進
次に、まちの価値を高める良好な住環境形成とエリアブランディングの推進です。
駅前や道路など、多くの市民が利用する公共性の高い空間が適切に管理され、定期的にリニューアルされることによって、「街並み」は美しく保たれ、まちのイメージも変わっていきます。
(まちのイメージの向上)
市内の至る所で目にする公共サインは、都市の景観を整え、人の流れを誘導し、地域ブランドを発信する、まちの重要な要素です。こうした公共サインのデザインコンセプトなどをルール化し、順次リニューアルを行います。
「まちの顔」である駅前については、順次、大規模な清掃を行うとともに、照明等の設備改修・更新等を行い、維持管理の高質化と美観向上を目指します。
駅前の公園や主要な街路については、除草や木のせん定の頻度を年2回から3回に増やすなど、「美しい街路・公園」の実現に向けた取組を進めます。
また、ごみの排出方法に関する指導や啓発の一環として、カラス除けボックスを貸与し、カラスによるごみの散乱被害を軽減させます。
(安心感の醸成)
「安心感」の醸成も、まちのイメージと大きく連動します。
これまでも、暴力団事務所の運営禁止規定等の整備、旧かんなみ新地の土地建物の買取り・取壊し、路上喫煙禁止区域における過料徴収の実施など、多くの施策を展開してきましたが、8年度は地域防犯カメラ設置補助を大幅に拡充することで、地域負担を「実質ゼロ」とし、地域防犯力を高め、更なる安心感の醸成を図ります。
(良好な住環境の形成)
「良好な住環境」の形成を目指し、「住む」場所としての魅力向上に向けた取組も更に前に進めます。
県外からの民間賃貸住宅への住み替え支援により、2か年連続で100世帯を超える子育て世帯等が転入するなど、良い結果も出ています。
8年度は空き家対策の更なる充実を図ります。相続の促進を通じた住宅の新陳代謝促進策に加え、所有者が不明となっている空き家等の権利処理手続にターゲットを絞った、弁護士等が加わる「所有者不明対策チーム」を結成し、所有者不明の空き家の除却や売却に取り組みます。
こうした取組を、毎年、着実に積み上げていくことにより、まちの「スポンジ化」を防ぎ、新規の住宅供給につなげることで、転入・定住者の増を目指します。
市営住宅の跡地等を活用した本市の住宅地イメージをリードする質の高い住宅地の誘導や、子育て世帯に選ばれる住宅の開発に向けた誘導基準の検討も進めることで、次世代を見越した目指すべき「住まいとまち」のイメージを都市政策の観点からも整理してまいります。
(3) 市内事業者の挑戦を応援し、多様な人材が活躍できる地域経済活性化
次に、市内事業者の挑戦を応援し、多様な人材が活躍できる地域経済活性化です。
(オープンイノベーション拠点の開設)
「ものづくりをするなら尼崎」
6年度の施政方針で申し上げた方針を具現化するため、OICを立ち上げ、「オール尼崎」体制で各種支援を展開してきました。
この4月には、オープンイノベーション拠点として、「ARKade(アーケード)」を開設します。
阪神間には、様々な技術・ノウハウを持った大企業・中小企業が多くあります。こうした大企業・中小企業の交流を通じて、新しい化学反応が生まれ、それが新たなビジネスへとつながります。
「ARKade(アーケード)」では、イノベーションを促す多様なプロジェクトを展開するほか、共創を促す交流会やワンストップの創業相談対応を実施するとともに、日本貿易振興機構(JETRO)や関係団体等と協力し、市内企業の海外展開を支援します。
新たな挑戦を考える人たちに、「尼崎であれば、様々な出会いがあり、ビジネスチャンスが生まれる」、そう思ってもらえるような阪神間のイノベーション拠点にしてまいります。
(尼崎ブランドを生かした地域活性化)
昨年は、大阪・関西万博が開催されました。1月には、万博後を見据えた観光の方向性を示すべく、「あまがさき観光地域づくり戦略」を策定しました。
尼崎城においては、大型スクリーンと迫力ある音響を駆使した没入感が得られる展示を3月に導入し、その強みである「体験コンテンツ」を強化します。
落第忍者乱太郎に代表される「推し活観光」や大阪観光局との連携による周遊コンテンツの創出などにも取り組み、尼崎らしい観光地域づくりを進めてまいります。
「あまやさい」については、地産地消の最大の強みである「鮮度」を維持した上で、市民の皆様にお届けできるよう、冷蔵機能付き販売機を導入し、PR効果の高い場所へ設置してまいります。
(4) 誰もが安心して暮らせる包摂的な社会づくりに向けた基盤強化
次に、誰もが安心して暮らせる包摂的な社会づくりに向けた基盤強化です。
自らの責めによらずに困難な状況に置かれている方に寄り添い、できる限りの支援に取り組んでまいります。
(犯罪被害者等支援の拡充)
まずは、犯罪被害者等支援の拡充です。
行政手続の負担軽減を図るための弁護士等への委任費用や県外で被害に遭った場合の遺体搬送費用の助成を、尼崎独自の取組として実施します。また、潜在化しやすい性犯罪被害者に対する更なる支援として、支援団体と連携して相談しやすい体制を構築するとともに、性犯罪被害見舞金を創設します。あわせて、既存の見舞金や家事援助、転居費用等に対する補助を拡充します。
犯罪被害者等の支援においては、関係機関・関係部局が連携し、個々の課題に応じた支援を適時適切に行うことが重要です。庁内の連携体制を構築し、ワンストップによる支援を実施します。
これら取組を実効性のあるものとするため、「尼崎市犯罪被害者等支援条例」の改正を行います。
(在宅レスパイト支援の実施)
次に、医療的ケア児の家族への支援です。
「慢性的な睡眠不足である」
「いつまで続くか分からない日々に強い不安を感じる」
医療的ケア児を介護する家族へのアンケート調査で、7割の保護者がこのように回答しました。
絶えず介護する家族への支援は急務です。そのため、医療保険制度が定める上限を超えた訪問看護師の派遣を受けられるよう、新たな補助制度を創設します。
今後、医療的ケア児のみならず、重度心身障害児の家族など同様の境遇にある方への支援策についても、引き続き検討してまいります。
(外国人政策)
今、全国で「移民問題」について注目が高まっています。尼崎にも就労目的で新たに来日する外国人が増えています。こうした傾向は、1月23日に国の関係閣僚会議で決定された外国人の受入れ見込数に鑑みれば、今後も続くものと考えられます。
外国人比率が急激に高まると、地域社会で様々な不安や摩擦が生じ、学校・医療現場等での負担が増えていくことが予想されます。
国に対しては、「出入国・在留管理等の適正化」や税・社会保障・医療等に係る「外国人制度の適正化」、土地取得等のルールの在り方を含む「国土の適切な利用及び管理に向けた取組」のみならず、地域での日本語教育など、基礎自治体として具体的に対応することが求められる施策の早急な充実を求めるとともに、本市においても、「あまがさき多文化共生施策アクションプラン」に基づき、目下の課題に対し、適切に対応してまいります。
8年度は、外国人総合相談窓口に公用スマートフォンを導入し、SNSでの相談に対応します。また、日本語での説明を多言語化するAI同時通訳ツールを導入します。さらに、新規の日本語ボランティアの確保に向け、養成講座を実施し、受講者等を登録するボランティアバンクを構築します。
学校現場においても「多文化共生教育ガイドライン」を策定し、目下の課題解消を図っていきます。
引き続き、国の動向も踏まえながら、先を見据えた施策展開を心掛けてまいります。
(5) 市民の利便性や満足度を高める共創DXの推進
次に、市民の利便性や満足度を高める共創DXの推進です。
令和5年12月に「あまがさき共創DXプラン」を策定し、手続オンライン化186件、市政アンケート参加数28,804人、業務改善時間1.5万時間など、その成果は着実に表れてきています。
今後、市民の利便性の向上と事務の効率化に向け、更なる高みを目指し、取組を進めます。
(窓口DX)
まずは「窓口DX」です。
「手続ナビ」を導入し、市役所に来られる皆様が、必要な手続・持ち物・訪問場所を効率的に調べられる環境を構築し、窓口手続のスマート化を図ります。
(子育てDX)
次に、デジタル化へのニーズが特に高い子育て世帯に向けて、「子育てDX」を進めます。
公立保育所・幼稚園や小・中学校と保護者との連絡手段をデジタル化し、保護者の負担軽減や事務の効率化につなげます。
また、保育施設利用に関する窓口相談についても、市役所に行かずとも自宅から相談できるよう、オンライン相談の仕組みを整えてまいります。
さらに、乳幼児の予防接種に必要な予診票をデジタル化し、保護者の手間と医療機関の負担の軽減を実現します。
母子保健業務においても、「母子保健相談支援システム」を導入することで、保健師の母子保健業務の効率化・質の向上と、母子保健・児童福祉等の情報連携によるこども家庭センター機能の充実を図ります。
(防災DX)
防災分野においても、DXを進めます。
大規模災害時に被災者の「生活再建への第一歩」となる罹災証明の発行や建物被害認定調査などをデジタル化し、申請から交付までの手続の迅速化を図ります。また、災害発生時の避難情報等の一斉配信機能に新たな情報発信ツールを追加し、円滑な避難行動の支援につなげます。
(業務DX)
最後に抜本的な業務効率化に向けた「業務DX」です。
事業者から市への請求書等をオンライン化し、請求書等の印刷・封入・郵送などのコストを削減します。あわせて、デジタル化された請求書を財務会計システムへ自動入力できるようにし、市役所の会計事務の業務効率化を図ります。
将来的には、見積りから支払までの全工程をデジタル化し、取引事業者も含めた事務効率の向上、ペーパレスやスマートワーク環境の実現を目指してまいります。
今後、世帯保有率9割以上のスマートフォンを行政サービスの入口とすることで、市役所と市民の皆様とのコミュニケーションを深め、かつ、市民の皆様の利便性を圧倒的に高めることを視野に入れた、行政プラットフォーム機能となるポータルアプリ「(仮称)あまがさき共創アプリ」の導入に向け、検討を具体化してまいります。
こうした取組を強力に推進するために、今年度で期限を迎える「あまがさき共創DXプラン」もアップデートしてまいります。
(6) 切れ目のない物価高騰対策
「名目賃金が安定的に物価上昇を上回る状況」が望まれている中、とりわけ食料品を中心とした物価高が家計の安心を揺るがしています。
生活者に最も近い基礎自治体として、できるだけ「幅広く、そして公平に」、かつ、「スピード」を重視して対策を進めています。
昨年のお米券の配布に続き、第2弾の「おこめギフト券」を速やかに各世帯に配布します。「おこめギフト券」については、お米以外の商品も購入できるよう、市内の小売事業者と継続的に交渉しており、各店舗で購入可能な商品を整理した情報も含め、各家庭に順次お届けしてまいります。
8年度も、物価高騰対策に係る国の交付金を活用し、先に述べた中学校給食費の保護者負担軽減のほか、切れ目のない物価高騰対策を実施していきます。
上下水道の基本料金を2カ月分無料とするとともに、「あま咲きコイン」のプレミアムキャンペーンを実施します。さらに、「省力化・生産性向上設備導入支援補助金」や「信用保証料補助金」、「社会福祉施設給付金」により、市内事業者の支援もしてまいります。
(7) 更なる成長につなげるまちへの投資
続いて、投資的事業です。
まちへの投資は魅力向上はもちろん、これからの尼崎の成長にもつながります。施設整備に当たっては、周辺への波及的効果を意識しながら、精力的に取り組んでまいります。
ゼロカーボンベースボールパークがオープンした阪神大物駅周辺は、駅の利用者の増加など、早くも良い効果が出ています。地域全体の周遊性を更に高めるための取組を進めます。
大物公園においては、インクルーシブ遊具の設置を含め、遊具広場などの整備を行い、間もなく全面リニューアルオープンします。
大物川緑地についても、「子どもの遊び場」、「歩きたくなる緑道」、阪神電鉄と連携した「駅前オープンスペース」の整備を進めます。
大物川緑地の南に位置する旧尼崎紡績本社事務所については、建物を取得した市として、責任をもって文化財としての保存・活用に向けた取組を進めます。隣接する東部雨水ポンプ場の将来的な整備・市民利用も見据え、エリア一体の魅力を高めていくための第一歩の取組として、庭園整備や構造基礎調査を進めてまいります。
元浜緑地については、民間企業からの寄付も活用しながら、老朽化した園路を整備し、幼児用遊具を更新します。
北部エリアにおいても、各種取組を進めます。
新図書館を大井戸公園内に整備するとともに、大井戸公園のリニューアル、景観を生かした歩きやすい歩道の整備、新トレピエの整備などを一体的に進めます。
また、西武庫公園については、その特色である桜の再生を含め、市民も関わる形で公園施設の再整備を開始します。
(仮称)武庫川周辺阪急新駅については、開業目標である令和13年度末に向け、引き続き整備に取り組んでまいります。
8年度には、これまで再整備を進めてきた農業公園も、順次、供用開始となります。自然が豊かな田能地区にあることを生かし、隣接する猪名川の「水辺の楽校プロジェクト」登録に向けた検討も併せて進め、農業振興だけでなく自然体験や環境学習もできる公園としていきます。
また、阪急園田駅前では、道路を「通行」以外の目的で柔軟に利用できるようにする「ほこみち」制度を活用することで、地域による日常管理と広場の利活用を進めます。
芦原公園については、「子どもたちが楽しめるプール機能を有した魅力ある公園」への全面リニューアルを目指し、8年度はまず基本設計等を実施します。
記念公園においては、陸上競技場のスタンドの改修や総合体育館の設備等の大規模改修、野球場スコアボードの改修など、リニューアルに向けた取組を進めます。
また、尼崎市公設地方卸売市場についても、市場の強化につながるよう再整備に向けた取組を進めます。
来年度から約5年間休館となる尼崎市総合文化センターについては、建物の耐震化・長寿命化を着実に進めるとともに、休館を契機に身近な場所での文化事業を充実させます。
これらの取組以外にも、道路、橋りょうや下水道など、都市基盤の老朽化に対して、市民の安全を最優先に、適正な維持管理に努めてまいります。
(8) 将来世代に責任を果たすための組織強化
ここまで申し上げた様々な施策の確実な実行に向け、市役所の組織体制も見直します。
目まぐるしく変化する社会経済情勢への迅速な対応の実現に向けてDX、政策、財政の3部門を1つの局に集約し、将来世代に責任を果たすための体制強化を図ります。あわせて、協働、文化・人権、地域の3部門を集約した局を新設し、地域力を更に高め、豊かさを支える地域振興体制を構築します。
この新体制の下、職員一丸となって市政を前に進めてまいります。
3 令和8年度予算
以上、市政運営に向けての基本的な考え方と、令和8年度当初予算に盛り込んだ主要事業等について申し上げました。
市税収入については過去最大規模を見込む中で、令和8年度当初予算は、
一般会計 2,472億1,000万円
特別会計 1,059億7,392万3千円
企業会計 1,115億427万6千円
となります。
財政運営の目標とルールを踏まえた予算を編成し、公債費に起因する収支不足に対応するため減債基金を取り崩すことで、実質的な収支均衡予算を確保しました。
近年、決算の状況は好調で、基金残高も堅調に推移しています。こうした状況を背景に、まちづくり推進基金の創設や公共施設整備保全基金の取崩しルールの変更といった新たな手法を講じ、多様な市民ニーズに応える予算編成に努めました。
一方で、今後は、社会保障関係費の伸びや、物価高騰、市債の利率上昇などにより、収支状況の悪化も懸念されます。効果・効率の観点で課題のある事業への見直しを常に考え、歳出の不断の見直しを行いながら、安定した財政運営に尽力してまいります。
4 むすびに
市長就任以降、時間の許す限り、地域の行事等に足を運び、市民・事業者の皆様がどのような思いでまちづくりに関わっておられるのか、その息遣いを感じる努力をしてまいりました。
「車座集会」も定期的に開催し、最近では、生涯学習プラザにおける拠点型での実施だけでなく、高齢者就労施設への訪問や地域における清掃活動への参加など、より深く地域や現場の声をくみ取るべく工夫を重ねてきました。また、定期的に企業等の事業所を視察し、各事業所で、どういった方がどのような仕事をしているのかを把握し、そこから次なる施策の検討材料を得る努力もしてまいりました。
世界における紛争の動向、日本の高齢化と労働者不足の問題、産業分野におけるDXの動向、そして、世界各国の成長と為替変動などが巡り巡って、確実に尼崎市内の事業者や市民生活に影響を及ぼし続けていることを、現場を訪問するたびに実感します。
国内動向だけでなく世界動向にも目を向け、常に市政発展と関連付けて考え、リスクにもすぐに対応できるよう、緊張感を持って市政運営に臨んでまいります。
「地域の活性化」は、そこに住み・働く皆様の思いと行動によって、はじめて具体化されます。
「政治」が地域の皆様の思いを受け止める「プラットフォーム」となり、真にその役割を果たしてこそ、行政組織も真に機能し、「地域の活性化」の歯車が動き出します。
常に謙虚に、そして「寛容」と「忍耐」の精神を持ち続け、市民・事業者・行政組織あらゆるステークホルダーの皆様との「コミュニケーション」を大切にした市政運営を心掛けてまいります。
今年は尼崎が市制110周年を迎える節目の年です。
この1年を通じ、市に関わってこられた皆様とともに、これまでを振り返り、未来を考え、前に進んでいきたいと思います。
「尼崎が変わった・良くなった」
市民の皆様がそう実感し、尼崎を「次のステージ」へと進めることができるよう、全身全霊をかけ、市政運営にまい進してまいります。
どうぞ、議員の皆様、市民の皆様、引き続きの御支援と御協力を賜りますよう心からお願い申し上げ、私の施政方針演説とさせていただきます。
このページに関するお問い合わせ
秘書室 政策秘書担当
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁南館2階
電話番号:06-6489-6474
ファクス番号:06-6489-6009














