松本市長 所信表明

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印刷 ページ番号1032962 更新日 2022年12月15日

 第11回市議会定例会にて就任のあいさつをし、市政への所信を述べましたので、要旨を掲載します。

“あまがさき”を次のステージに!~人が集まる賑わいのあるまちへ~

 第 11 回市議会定例会の開会にあたり、今後の市政運営に関する私の所信を申し上げます。

 去る11月20 日に執行された尼崎市長選挙において、市民の皆様の信託をいただき、12月2日より、尼崎市長としての重責を担うこととなりました。皆様の思いを受け止め、今後の市政発展のために、全身全霊を傾けてまいりますので、どうか、 皆様の温かいご指導とご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

尼崎への想い

 はじめに、私の尼崎への想いについて述べたいと思います。

 皆様ご存じの通り、私は、静岡で生まれ育ち、東京で働き、教育長として尼崎市に奉職をし、 そのご縁により、尼崎市長選挙に立候補をし、今、この場に立っています。
教育長時代より、生活者として尼崎の皆様に大変お世話になり、そして、尼崎を良くしたいと いう思いを持って、全力を投じてきましたが、やはり、見る人によっては「外から来た者」であることは否めません。人の生まれや育ちは、自分で選べないのです。しかしながら、年齢を重ねていく中で自分が生活する場所は、自分で選ぶことができます。

 厚生労働省で初めて女性事務次官を務められた、村木厚子さんが、鹿児島県の甑島(こしきし ま)を訪問した際の経験を引き合いに出し、「『風土』は、『風の人』と『土の人』が作る」ということを紹介されています。
 甑島(こしきしま)で、様々な新しいことにチャレンジしている女性が、村木さんに対し、「私 は外からお嫁に来た人なんですよ」「私は外から来た『風の人』だけど、ここで育った本当に良い 『土の人』がいなかったら、こういうことはできなかった」と話をされたとのことです。

 私自身、尼崎市で選挙活動を始めてから、就職や結婚など縁あって尼崎市に住み、尼崎を良くしたいと、熱心に活動や商いをされたりしている方々に、たくさん出会ってきました。
「風の人」と「土の人」がお互いを認め合い、そして協力し合い、尼崎らしい魅力ある「風土」 を作り、発展させてきた。それが尼崎の特長だと、私は思っています。

 私は、そうした、尼崎市の伝統や歴史を大切にした上で、寛容で、多様性に溢れ、そして創造性豊かな尼崎を、市民の皆様とともに発展させ、尼崎のさらなる強みとしていきたいと思っています。

 

果たすべき役割

 尼崎市は、戦後、工業都市として急速に発展を遂げた一方、公害問題に苦しみ、さらに、成熟社会を迎える中で、財政難という大きな課題に直面してきました。
しかしながら、こういった中でも、市民の皆様の力により、これら課題の解決に向けて、着実に歩を進め、今、少しずつ、次のステージに向けた「胎動」が始まりつつあります。

 「環境モデル都市として評価されるようになった」、「暴力団事務所がなくなった」、「刑法犯認知件数が 10 年前に比べて6割以上減少した」、「学力がほぼ全国平均レベルになった」、「本当に住みやすい街大賞 2018in関西で第1位に輝いた」、「生涯学習プラザが整備され、市民の学びの環境が整いつつある」、「市財政が大幅に改善した」
こういった変化は、尼崎を良くしようと取り組んでこられた多くの方々の努力が、具体的な形となって現れた成果です。 私の役割は、その多くの方々の努力に思いを致しつつ、この「胎動」を、確実なものとし、次 のステージに進めることにあると考えています。

 尼崎は、可能性に満ちたまちです。そして、これから間違いなく、成長できるまちです。私は、 そのことを確信しています。

 

基本ビジョン

 様々な分野で起こっている「胎動」を確実なものとし、それにより、「住みたいまち」、「住んで 良かったまち」、尼崎に関心と興味を抱き「人が集まる賑わいのあるまち」へと発展させる。こういった基本的なビジョンを持ちながら、人々の生活に最も密着した基礎自治体の強みを活かしつつ、選挙活動を通じて、市民の皆様にお約束した、

1. 「子育てのまち」、「学びたいまち」あまがさき、
2. 誰もが暮らしやすいまち、
3. 住環境整備、まちの魅力とイメージの向上、
4. 地域経済の活性化と脱炭素社会に向けた取組、
5. 市民とともに市民に寄り添う市役所、

の5つの観点から、それぞれの施策を連関させ、全体の底上げを図ってまいります。

 その際には、国や兵庫県、さらには近隣他都市とも連携しながら、地方から社会を動かしていく意気込みで、職務に邁進してまいります。

 

具体的施策の方向性

(1.「子育てのまち」、「学びたいまち」あまがさき)

 まず1つ目の観点は、「子育てのまち」、「学びたいまち」あまがさきの実現です。
長期的に尼崎の成長を考えたとき、まず、力を入れるべきは「子育て・教育」の充実です。子育て世代の転入、そして、子どもたちの賑わいは、これまでお世話になった高齢の方や地域 経済を支えるまちの活力の源泉となります。子育て世代が、尼崎市で安心して子育てをし、教育を受けさせることができるよう、私自身の文部科学省、教育長としての行政経験も活かしながら、「子育てのまち」、「学びたいまち」の実現に向けた取組を全力で進めてまいります。

 まず、広く子育て世帯が対象となるよう、18歳までの子どもの医療費の無償化に向けた取組を、 任期中に必ずや一歩、二歩と前進させます。

 また、待機児童対策など、子育て支援のさらなる充実に向けた取組を進めます。

 子どもの育ち支援センター「いくしあ」を中心に、関係機関との連携を強め、妊娠・出産から就学後までの切れ目のない相談・支援を充実させます。また、一時保護所を含む児童相談所を設置し、「いくしあ」と一体的な支援を行うことで児童虐待などへの対策を強化します。

 学力向上に向けた取組とともに、スクールロイヤーの配置などいじめ問題への対応を強化します。

 多様性を認め合う学校環境の実現に向けて、不登校児童生徒への対応を強化します。また、障害のある子どもや医療的ケア児の学習を保障するとともに、共生社会の実現に向けたインクルーシブな教育を推進します。

 学校の教職員の働き方改革、地域に開かれた学校の実現を目指し、子どもにも、教職員にも、地域にも魅力ある学校づくりを進めます。
 また、若者の声・意見を市政に反映させられるよう、ユース交流センターを拠点とした青少年の社会参画を促進します。

 

(2.誰もが暮らしやすいまち)

 次に、誰もが暮らしやすいまちにするための人権や福祉等の取組です。尼崎市には、高齢の方、障害のある方、性的マイノリティの方、様々な国籍の方など、多様な方が生活しています。一人ひとりの市民に寄り添うことは、市民の生命と財産を守ることを基本的役割とする市政の 根幹部分であるという認識を持ちながら、各施策を充実してまいります。

 人権については、常に新しい課題が生じているという認識を前提とし、継続的な普及・啓発に努め、人権文化がいきづく地域共生社会を目指します。

 また、高齢の方が、何歳になっても健康で自分らしく生きがいをもって暮らせる仕組みづくりを進めるとともに、見守り活動や重層的支援の推進、地域防災力の向上に取り組みます。 障害のある方の地域生活を支えるための取組を推進するとともに、アスベスト被害者への支援、 被害の根絶に向けた継続的な取組を進めます。

 

(3.住環境整備、まちの魅力とイメージの向上)

 3つ目は、住環境整備、まちの魅力とイメージの向上です。

 JR尼崎駅周辺、JR塚口駅周辺などが再開発され、駅前を中心とした住環境が大きく改善したことが、「住みやすいまち」として再評価されるようになった大きなきっかけです。
 この流れを加速させるため、教育や福祉などのソフト戦略と併せて、まちの魅力とイメージの向上に向けた具体的な取組を、さらに進めてまいります。

 民間と連携した駅前の賑わいづくりに向けたプロジェクトの推進、質の高い住宅供給の促進、 空き家対策など、良好な住環境整備とまちの活性化に向けた取組を進めます。

 また、路上喫煙対策を強化し、受動喫煙とポイ捨てのないまちを目指すとともに、戦略的な防 犯対策などを通じた「体感治安」の向上に取り組みます。

 各地区の生涯学習プラザを拠点として、市民発意の取組や協働を促進するとともに、地域支援機能の充実を図ります。また、他都市と比較してまだまだ不十分と言われている図書館機能の充実、そして、歴史文化を学び育むまちづくりに向けた取組を進めます。

 これら取組に加え、まちの魅力を、戦略的・効果的に情報発信することなどを通じ、プロモーションを強化し、まちのイメージ向上を図ります。

 

(4.地域経済の活性化と脱炭素社会に向けた取組)

 4つ目は、地域経済の活性化と脱炭素社会に向けた取組です。

 尼崎市は、歴史的に、様々な企業活動により、その発展が支えられてきました。「住みやすいまち」としての尼崎市の評価が高まりつつある今、地域産業の発展と住環境整備の両輪で、この尼崎を成長させていくことが重要です。
 これまで事業者の皆様のお話をお伺いする中でも、「『ものづくり産業』の新規育成に力を入れてもらいたい」、「商店街を応援してもらいたい」など、多くのお声をいただきました。

 産業構造が大きく変化し、雇用が流動化している中で、終身雇用や年功序列など、日本の従来の雇用慣行が転換の時期を迎えています。労働人口の減少が進む中において、とりわけ労働生産性の向上が必要であり、「イノベーション」を促進するとともに、多様な働き方の実現に向けた取組の推進、さらには海外からの投資の拡大を図ることが重要であると考えています。

 若者が、新しいことにチャレンジをして、新たな価値を創っていく、そして、尼崎から全国へ、そして世界へと挑戦することを応援できるような環境を作ってまいります。そのための、新規産業創造支援や事業継続支援に力を入れてまいります。

 さらに、性別や年齢などに関わらず、それぞれが持てる能力を最大限発揮できるような市内就労環境の実現に向け、職業能力開発や企業との対話を推進するなどの取組を充実してまいります。

 また、とりわけ南部を中心として、尼崎市の有する豊富な歴史・文化的資源と商店街等とが連携しながら、海外からの観光需要を高めるための戦略的なインバウンド推進を図ってまいります。

「あまやさい」の給食等での利用推進や、尼崎産農産物のブランディングなどを通じた市内農業の推進、そして、商店街の活性化をはじめとした地域内経済循環を促進させます。

 産業発展には、必ず、光と影があります。しかしながら、過去には「コスト」と捉えられていた環境への対策等は、近年は、「投資」として戦略的に活用する企業文化が生まれてきています。尼崎市の公共施設の建設・改修にあたっての環境配慮も含め、食品ロス、プラスチックごみの 削減など、2050 年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロとする脱炭素社会に向けた取組を着実に推進します。

 

(5.市民とともに市民に寄り添う市役所)

 最後となる5つ目は、市政を推進するために不可欠な市役所の体制強化についてです。 まず、20 年間続いた女性市長が、今回、男性に代わったという事実に、私自身、しっかりと向き合わなければなりません。市政の重要事項の意思決定に女性の視点が入るよう、女性幹部の積極的登用を進めることをはじめ、多様性を重視した組織体制を構築してまいります。

 また、福祉人材の確保と育成、最高情報責任者の設置による市役所の情報化推進体制の強化、NPOや民間企業等との透明性を確保した上での積極的な連携などの取組を強化してまいります。加えて、これまで、長年、尼崎市が努力し続けてきた堅実な財政運営を遵守しつつ、外郭団体の改革と戦略的な活用推進、市長退職金の見直しなど、行財政改革についても進めてまいります。

 

 以上、具体的施策の方向性を申し上げましたが、市政は常に動いており、時には、より柔軟かつ迅速な対応が必要な場合もあります。

 また、2025年に迫った大阪・関西万博を契機とした国や兵庫県、大阪府等との連携強化によるベイエリアの活性化、脱炭素の視点も含んだ官民連携による阪神大物駅周辺の再整備、周辺地域の持続的発展までを見据えた武庫川周辺阪急新駅にかかる取組、環境保全に配慮し地球温暖化対策に貢献する新しいごみ処理施設の建て替えなど、すでに進行中であり、かつ、今後、構想を具体化していくプロジェクトが多く控えています。

 アンテナを高く張り、議会の皆様ともしっかりと議論しつつ、尼崎の成長のために、臨機応変 かつ機動的な対応ができるよう心掛けてまいります。

 

政治姿勢

 最後に私自身の政治姿勢であります。 選挙活動を通じて、「対話重視」、「実行力」、「誰一人取り残さない」の3つの政治姿勢を大切にすることを訴え続けてまいりました。

 私は、基礎自治体たる尼崎市政の基本的役割とは、尼崎の成長のビジョンをしっかりと描きつつ、一方で、尼崎市で生活している市民の皆様の息遣いを感じ取り、それぞれが抱える課題にしっかりと寄り添うことであると考えています。

 市民の生活は、市政だけでなく、県政、国政とそれぞれが複雑に関わり合いながら支えられていますが、市政が最も市民の皆様と距離が近く、そして声を拾い上げることができる立場にいることは間違いありません。

 だからこそ、尼崎市政が、この強みをしっかりと活かしていくことが大切です。

 私自身はもとより、全職員が、あらゆる場面を通じて、「誰一人取り残さない」という意識を持ち、市民の皆様との「対話」を積極的に続ける姿勢を大事にした上で、県政や国政も巻き込みな がら、是々非々で議論を深めていく、そして、具体的な施策へと具現化していく「実行力」を重視しながら、「政策」の内容で、市民の皆様のご期待に添えるよう、初心を忘れることなく、全力で「あまがさきを次のステージに」進めてまいります。


 市民の皆様、議員の皆様のお力添えを心からお願い申し上げまして、私の就任の挨拶とさせて いただきます。

 

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