尼崎の都市農業を知ろう! このまちで、農業を営む(市報あまがさき平成30年11月号掲載)

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ページ番号1016078 更新日 令和2年6月29日

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本市は市域の約2%が農地で、294戸の農家が農業を営んでいることを知っていますか。都市の農業は消費地に近いため新鮮で安全な農作物を供給でき、さらには農地は多くの役割を果たす、まちになくてはならないものです。今月の特集では、都市農業について考えます。詳しくは農政課(電話番号6489-6542)へ。

緊急座談会! 農家のリアル

市内の農家の亀田明さんと島中健太さん、西村昌浩さん、前田喜久雄さん、松谷潤一さんに、都市農業のやりがいや悩みなどを伺いました。

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島中 僕は農業を始めて5年目です。野菜が好きなので、どんどん新しい種類の栽培に挑戦しています。失敗も多いから、品質向上を目指していきたい。「健太さんのしか買わない」って言ってくれる人も多いからうれしいですね。

松谷 今親子向けに食農教育に取り組んでいて、収穫時の子どもたちの笑顔を見ると、「農業やってて幸せやな」と思います。

亀田 でも楽しいことばっかりじゃない。わしはもう、81歳やからね。トラクタ乗ったり重たい肥料運んだりする体力がないですね。

西村 やっぱり一番は後継者問題。尼崎の規模の農地でサラリーマンくらいの年収は難しいから、息子に「後継げよ」とはよう言いません。

前田 だからどんどん農家が減っていってる。うちの周辺では終戦後72軒いたのに、今何とか水稲やってるのは4軒しかない。今後また減るやろね。

西村 市民の方にお願いしたいのは、「農地にごみを捨てないで」ってこと。

松谷 そうそう、たばことか空き缶がわざわざ畑を狙って捨ててある。

島中 農地に勝手に入られることもありますね。あと、サツマイモとか花とか、農作物が普通にとられるので困っています。

前田 もみ殻を焼いて肥料を作ったら、煙が出るからすぐ通報されるんよ。前は消防車と警察が来た。

西村 有機栽培は良いって言われるけど、たい肥を使うと臭いって言われる。どう理解してもらおうか。

亀田 ほんまにおいしいんは虫が穴開けたような野菜なんやで。一番安全で新鮮やねん。

西村 自分の望みは、学校給食で何日かは市内産の米を使ってほしいということ。やっぱり子どもらに尼崎で取れた米や野菜を食べてもらうのは大事。

島中 僕はもっと市内のイベントに野菜を出店したい。伝統野菜部会にも参加していて、武庫一寸ソラマメをもっと多くの人に食べてもらいたいです。

松谷 僕は、次の世代に伝えるために、もっと農業を楽しめるやり方を模索中です。若い人の持つ「農業は無理」というイメージを変えていきたいですね。

輝く尼崎の農家を紹介します

試行錯誤し経営を拡大している市内農家の遠藤さんと小寺さんや、農園新設に向けて準備を進めている笹原さんにお話を伺いました。

認定農業者制度本市認定第1号 遠藤晃久さん

農薬や化学肥料に頼らず安心野菜を生産する遠藤さんは、市内農家で結成した「阪神こだわり野菜の会」の会長を務め、コープこうべ武庫之荘店や西宮市の百貨店のインショップで野菜を販売しています。

「都市農業の強みはやっぱり消費者と近いこと。直接お客さんと会って話すことで『どんな野菜が求められているのか』というニーズを知ることができます。今の時代、農家も自分でマーケティングをしていかないと。最近はパクチーやレモングラスなど、流行に合わせて野菜を作っています」

食育のセミナーの講師を請け負ったり、野菜ソムリエの資格取得を目指したりと、多角的に経営を拡大されている遠藤さん。以前から制度化を願っていた認定農業者制度※に、本市第1号で認定されました。

「市内の農家さんもどんどん後に続いてほしいです。尼崎の都市農家の意気込みを見せていきたいですね」

※農業者が効率・安定的な経営計画を作成し、市がその計画を認定する制度。国や県の支援が受けられるようになります。

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行列のできるコテラトマト 小寺清隆さん

農林水産大臣賞を受賞したこともあるコテラトマトを栽培する小寺さんは、地産地消にこだわります。農地直売でしか買えないため、販売時期になると毎回数十人もの人がトマトを求めて行列を作ります。常連の人の中で小さなコミュニティーができ、待つ間に歓談に興じたり、購入後は連れ立って遊びに出掛けたりする光景も。

8年前に自分のトマトの株を持てるオーナー制度を始めたのは、直売の数が足りなくなりお客さんから「量を増やして」と言われたことがきっかけ。旬になると300人のオーナーが農園を訪れます。

「地産地消の魅力の一つは、市民もトマトも同じ気候を過ごしていることです。今年のトマトは甘いとか酸味があるとか、二度と同じ味はできません。地元の野菜を食べて、自然を感じてもらいたいです」

台風21号でハウスに被害が出ましたが、お客さんから心配の電話がたくさん届いたそう。楽しみに待ってくれる人がいるから復旧も頑張れます。

「これからもおいしいトマトを作り続ける努力は怠りません。いつか農業塾もやりたいですね」と語る小寺さんの目はいつも地域に向いています。

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いちご農家を目指して修行中! 笹原篤史さん

2019年9月に、猪名寺の祖父の農地を継ぎ、いちご農園を新設するため準備を進めています。

農家を志したきっかけは、就職活動で魅力的な農業の企業に出会い、農地のある風景に引き付けられたからです。都市に農業は必要だと思っています。先日祖父の農地の稲刈りをしましたが、何か引かれるものがあったのか、地域の人がじっとその様子を眺めていたのが印象的でした。しかし尼崎でも、祖父の代では残っていた農地が今はどんどん住宅に変わっていき寂しく感じています。

現在は神戸市のいちご農園で栽培などを学んでおり、今年で3年目になります。こだわりを持ち、何事も妥協しない親方の背中を見て、私もそんな仕事をしたいと思っています。

いちごを作ることを選んだのは、住宅地の真ん中にいちご畑があったらすてきだなと思ったからです。誰でも気軽に入れる農園を目指しているので、開園した際にはぜひ遊びに来てくださいね。

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わたしたちと都市農業

本市の農地や農家は年々減少している一方で、食の安全・安心へのこだわりにより、地産地消が注目されたり市民農園の希望者が増えていたりするなど、市民の農業への関心は高まっています。ここでは、市内の農業や都市農業のさまざまな役割、市内産野菜が買える場所などについて紹介します。

尼崎の農業

宅地化が進んだ本市では、多くの農地は住宅の間に点在しています。市の北東部では水田が多く、西部では畑が多く軟弱野菜(葉物野菜)を中心に栽培しています。作付け全体の約4割は稲作です。農地面積、農家数とも年々減少傾向にあるため、市は各種農業振興策を実施しています。

市の取り組み

本市で、農業振興のために実施している支援策の一部を紹介します。
 

◆ロゴ入り結束帯の配布

市内産農作物をPRするため、軟弱野菜の流通の過程で必要な結束帯を配布しています。

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◆有機肥料の配布

市街地内の農地は住宅と近接しているため、臭いや環境負荷の少ない乾燥牛ふんなどの有機肥料を、栽培農家に対して配布しています。
 

◆樋門などの維持管理

農業生産の安定化を図り、集中豪雨時の水害を防ぐため、樋門(農業用水利施設)などの保守・点検をしています。
 

◆尼藷の保全

有志の農家や栽培援農ボランティアの協力の下、伝統野菜・尼藷の保全に取り組んでいます。

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新しい農業のカタチ 野菜工場

阪神電気鉄道阪神野菜栽培所(水明町)では、農薬を使わずに、レタス「HANSHIN清らか野菜」を水耕栽培しています。

6年前、高架下の有効活用を目的に鉄道事業のモットーである「安心・安全」を引き継ぎ始まりました。住宅地であり、大阪や神戸に近い尼崎の立地の良さを生かし、阪神間の一部のスーパーで販売しています。

同栽培所の温井さんは、「水耕栽培の野菜は、土や虫が付いている心配がないので、食べるときにはさっと洗うだけで十分。また、えぐみが少なく小さな子どもにも食べやすいため、忙しいお母さんにもぜひお薦めです」と良さを語りました。

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知っていますか? 伝統的な尼崎の野菜

◆尼藷

江戸時代から昭和初期まで市の南部で作られていましたが、昭和25年のジェーン台風で絶滅しました。地域の人々の働きにより復興し、尼藷焼酎「尼の雫」など加工品が市の特産品にもなっています。

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◆武庫一寸・富松一寸ソラマメ

豆の粒が大きく味も良いため、奈良時代から武庫地区で盛んに栽培されていました。都市化により幻の豆となっていましたが、地域の人々が保存、継承に取り組んでいます。

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◆田能の里芋

白くてもっちりした粘りのある里芋で、伝承的に田能で栽培されてきました。現在、地域の人々が保存に取り組んでいます。旬の時期には催しを開催しています。

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都市農業の役割

平成27年4月に都市農業振興基本法が施行され、都市農地の位置付けが「宅地化すべきもの」から「都市にあるべきもの」へと大きく転換し、安定的な継続が図られることになりました。都市農業は新鮮な農作物の提供という生産面での役割だけではなく、防災機能や環境保全、農業体験の場の提供など多面的な役割を果たしています。

 

◆農地は貴重なオープンスペース

土や緑は気温を下げる働きをし、昆虫など多様な生き物のすみかになります。火事の際には火が広がるのを防ぎ、豪雨の際には洪水をやわらげます。
 

◆新鮮な野菜を食卓へ

安全で栄養価が高く味の良い、新鮮な農作物を住民に提供してくれます。収穫後すぐに鮮度や品質が落ちやすい軟弱野菜も取れたてを買うことができます。


市内の作付け野菜トップ5

1位 コマツナ 6.3ha 2位 ネギ 3.5ha 3位 シロナ 2.8ha 4位 ホウレンソウ 2.7ha 5位 サツマイモ 1.8ha (平成29年度)
 

◆食を学ぶ

地域で作った農作物を学んだり食べたりする地産地消や、農作物を収穫し料理して食べる食農教育など、農業を通じて食の大切さを学ぶことができます。
 

◆交流を生む

市民農園や体験農園などの身近な農業体験や、市内産野菜の販売などが行われる農業祭は、地域住民同士や農家との交流を生み出します。

野菜を買って尼崎の農業を応援しよう!

◆農産物直売所・インショップ

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1.ほんまもん武庫の郷(武庫元町1丁目)

月~金曜日午前9時~正午

2.JA兵庫六甲ASC青空市(塚口町1丁目)

毎月第3土曜日午後2時~4時

3.ほんまもん園田の郷(口田中1丁目)

月~金曜日午前9時30分~午後5時

4.米工房稲穂園(口田中1丁目)

月~金曜日午前9時30分~午後5時

5.阪急オアシス武庫之荘店(南武庫之荘1丁目)

毎日午前9時~午後10時

6.コープこうべ武庫之荘店(武庫之荘1丁目)

火・水・木曜日午前9時~午後9時

7.阪急オアシス立花店(立花町1丁目)

毎日午前9時~午後10時

8.コープこうべ立花店(立花町1丁目)

木曜日午後4時ごろから

9.マックスバリュ武庫元町店(武庫元町1丁目)

火・金曜日午後2時ごろから
 

期間限定の直売所

10.コテラトマト(浜田町4丁目)

5月下旬~8月上旬火・土曜日(収穫量によっては木曜日も)午前9時から・午後4時から

(情報は平成30年11月時点)

編集後記

市内を歩いていて、「こんなところに畑が」と思いつつ、特別意識することはなかった尼崎の農業。今回、取材で農家の方に実際にお会いして、もちろん農業は大変なことも多くあるようですが、それ以上に大きな愛情を感じました。生産者の想いを知れば、応援したくなるのが人情です。それに、こだわり野菜はやっぱり新鮮で美味しそう。「自分の体を構成するのは、今日食べたもの」ともよく聞きます。これからは、そんなことも踏まえて、食べるものを選択していきたいなと思った特集でした。

このページに関するお問い合わせ

総合政策局 政策部 広報課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館2階
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