あなたと私の“違い”を知ること(市報あまがさき平成30年7月号掲載)

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ページ番号1016070 更新日 平成31年4月2日

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私たちが手話で共に生きる社会の実現を目指し、平成29年12月、尼崎市手話言語条例を施行しました。今月号では、お互いの違いを理解し、尊重することで、誰もが持てる力を発揮し元気に活動することができるまちづくりについて考えます。詳しくは障害福祉課(電話番号6489-6577、ファクス番号6489-6351)へ。

障害のある人もない人も、自分にできることを持ち寄って

昨年11月11日に開催した「ミーツ・ザ・福祉」に実行委員として関わった湧川(わくがわ)佑香さんと聴覚障害のある寺岡睦(まこと)さんに、同事業の中で感じたことや考え方の変化について伺いました。

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参加のきっかけや理由は?

湧川
以前からいろいろな人と関わりたいと思っていたし、障害のある人とあまり関わる機会がなかったので、参加してみようと思いました。

寺岡 リニューアル前の「福祉のつどい」の時から身体障害者連盟福祉協会で関わっていたからです。

 

参加して感じたことは?

湧川
障害にもいろいろな種類があることを知りました。そのため、障害のある人をひとくくりにするのではなく、その人その人に合わせてコミュニケーションを取ることを心掛けました。
実行委員会のミーティングでは、みんなが話しやすいような工夫をいくつもしています。例えば、発言する人がテーブルのぬいぐるみを持って話すことで、聴覚障害のある人や発達障害のある人も含めて誰もが「その人の話を聞けばいいんだな」と分かりやすくなるんです。

寺岡 イベントの企画や広報の仕方など視野が広がりました。障害のある人たちは自分で限界を感じ、諦めてしまうことがあると思いますが、実行委員会に、障害のある人もない人もいろいろな立場の人が関わっていることで、「こんなやり方もあるんだよ」と新たな可能性を示してくれたように思います。


考え方に変化はありましたか?

寺岡
健常者の中にも、「福祉関係者ではないけど、関わってみたい」と考えている人が、自分が思っていたよりもいっぱいいるんだと知って、少しポジティブになれたかなと思います。

湧川 私は人前で発言するのが苦手なことがコンプレックスでしたが、実行委員会ではそういう部分も受け入れてくれました。「私の話をちゃんと聞いてくれる」という安心感があったので、参加していくにつれ、何とか最後までしゃべれるようになりました。「できないこと」と「できること」があるのは、障害のある人もない人も、みんな同じなんだと今では思います。


「違い」を生かした新しい何かは  生まれましたか?

寺岡
実行委員会で「漫才をやってみたら」と言われたけど、一般的な漫才は「聞こえる人の文化」だと思っていたので初めのうちは嫌でした。「聞こえる人の漫才」と「聞こえない人の漫才」があるんですよね。ただ、区別してそこで終わるのではなく、両者が融合した形を作れないかな、とも思っていたので、そのアイデアを試してみる良い機会になりました。

当日は、聞こえる人は喜んでくれたみたいなんですけど、聞こえない人も楽しめるものにはならなかったので、失敗かな。次はもっと工夫して、リベンジしようと思っています。こういうイベントを続けていれば、違いを理解し、共存できる取り組みを追求できるような気がします。漫才も含めてね。


今後やりたいことは?

湧川
今年の「ミーツ・ザ・福祉」では、もっと皆さんとコミュニケーションを取っていきたいです。関連イベントにもできるだけ参加して、新たな考え方やコミュニケーション方法を知り、本番に生かせるようにしたいと思っています。

寺岡 聴覚障害があるということで、これまで自分の人生でチャレンジする機会は少なかったのですが、「ミーツ・ザ・福祉」に関わったことでチャンスが増えたと思います。この出会いは大きな財産です。「こんなんどう?」ってアイデアを出せば、みんなが「それいいね」って返してくれて。今までだったら、仲間内だけでできることばかり探していた気がします。

これからは、自分の世界を広げて、いろいろなことにチャレンジしていこうと思っています。

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ミーツ・ザ・福祉

長年続く「福祉のつどい」が、平成29年度から提案型事業委託制度により「ミーツ・ザ・福祉」にリニューアルしました。今年も、11月10日の開催に向け、誰もがお互いの違いを尊重し、持てる力を発揮し合ってイベントを企画しています。

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知っていますか? 手話のこと 聴覚障害者のこと

ここでは、尼崎市手話言語条例の目的や、尼崎市聴力障害者福祉協会の岡崎正樹さんと尼崎ろうあ協会の岩本吉正さんの思いを紹介し、お互いの違いを理解し共生するため、私たちにできることを考えます。詳しくは障害福祉政策担当(電話番号6489−6577、ファクス番号6489−6351)へ。

障害の有無に関わらず、共に生きられる社会に向けて 尼崎市手話言語条例

パンフレット

制定の背景・目的

手話は、かつて口話を重要視する教育方針のためにろう学校で使用が事実上禁止され、また、社会の偏見のために言語として認められてこなかった歴史があります。
現在でも一般的には手話と接する機会が少なく、教育現場や災害発生時などでろう者※が意思疎通を図り、必要な情報を得られる環境が整っていないという課題があります。また、手話とろう者に対する理解も深まっているとは言えません。
本市は、手話が言語であるとの理解を深め、障害の有無に関わらず、共に生きることができる社会の実現を目指し、尼崎市手話言語条例を制定しました。

※ろう者 同条例では、聴覚に障害があり、手話を言語として使用することで日常・社会生活を営む人と規定しています
 

私たちの役割

◆市の責務
手話とろう者への理解、手話の普及促進に関する施策の策定・実施

◆市民の役割
手話とろう者への理解、手話の普及促進に関する市の施策に協力

◆事業者の役割
手話とろう者への理解、ろう者が利用しやすいサービスの提供、ろう者が働きやすい職場環境の整備、手話の普及促進に関する市の施策に協力

多様なコミュニケーション方法があることを知って遠慮なく私たちに話し掛けてください「『学生の成長』を目指して取り組んだら、経営者としても学びになりました」

尼崎市聴力障害者福祉協会 岡崎正樹さんと尼崎ろうあ協会 岩本吉正さんにお話を伺いました。


手話は一つの独立した言語です

岡崎 手話は、手指の動きだけでなく、顔の表情や視線なども文法に含まれた、一つの独立した言語です。視覚言語であり、例えば山の単語は、手の動きで山の形を描いて表現するように、見ただけで何か分かるものが多いです。

岩本 手話の習得は、健聴者が日本語を覚えるのと同じように、手話も見て使っていくうちに覚えていきます。

 

聴覚障害者も一人ひとり違います

岩本 よく誤解されるのが、補聴器を付けているから聞こえるだろうとか、後ろから名前を呼んだときに振り返ったから聞こえるだろうということです。私の場合は補聴器を付けて音自体がやっと聞こえるくらいで、言葉として聞こえるわけではありません。お店などで顔を近づけて大声で話してくれようとする店員さんには申し訳ない気持ちになりますね。私の場合はゆっくりはっきりした話し方や、筆談がありがたいです。

岡崎 聴覚障害者の中で、手話が使える人は全体の20%くらいです。手話のほかにコミュニケーションを取る方法はいろいろあるのですが、そのうちの一つである、話し手の唇の動きを読み取る口話も、できる人とできない人がいます。


手話通訳が欲しいと思うとき

岩本 阪神・淡路大震災の折に避難所に行ったときは情報が得られなくて困りました。また、急病で病院に行きたいとき、手話通訳者の派遣をお願いしても、すぐに来てくれるとは限りません。避難所や病院に手話通訳者がいてくれるといいなと思います。緊急時には特に、健聴者と同じように、漏れのない正しい情報が欲しいです。


手話を知ってください

岩本 手話言語条例ができたことを機会に、市民の皆さんに手話や聴覚障害者のことを広く知ってほしいです。

岡崎 一番うれしいのは皆さんに手話を覚えてもらうことですが、急には難しいですよね。手話のほかにも、筆談など聴覚障害者とのコミュニケーション方法はいろいろあります。手話が分からなくても遠慮なく私たちに話し掛けてほしいと思います。

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私たちにできること 聴覚障害者とコミュニケーションを取るときには

口の動きや表情はコミュニケーションに重要な役割を持っているため、聴覚障害者と話すときは、できるだけマスクを外してください。

◆手話
手指や身体の動きと表情を使って表現する視覚言語です。日本語とは異なる語(ご)彙(い)や文法を持っています。複数のことを同時に表現する「同時性の表現」、上下左右の空間や方向などを使って表現する「空間活用の表現」といった特徴があります。

◆筆談
紙や手のひらに文字や数字などを書いて、言いたいことを相手に伝えます。
しかし、ろう学校で手話の使用が事実上禁止だった時期があり当事者に合った授業を受けることができなかったため、学習の理解に差があり、人によっては長い文章や漢字が苦手な場合もあります。できるだけ簡単でシンプルな言葉を心掛けてください。

◆口話・読話
相手の口の動きを見て言葉を読み取ります。日本語は口の動きが同じで意味が違うものが多く、正しく理解するのは大変です。例えば、たまご・たばこ・なまこを見分けるのは困難です。声を出さずに一度試してみてください。

◆そのほか
日本語の50音を指の形で表す「指文字」や、空中に自分から見た文字を書いて相手に伝える「空(そら)書(が)き」があります。

◆手話サークル
市内では多くの手話サークルが活動しており、ろう者と交流しながら楽しく学べます。

◆手話通訳者養成講座
将来、市の派遣事業の登録手話通訳者として活動することを目指す人のための講座です。「奉仕員講座」「手話通訳1.」「手話通訳2.」があり、平成30年度からはより高いスキルを学ぶ「手話通訳3.」を開講しました。

聴覚障害者の社会参加に必要不可欠な制度です 手話通訳・要約筆記

手話通訳は音声言語を手話に、手話を音声言語に変換する方法です。要約筆記は音声言語を文字にして表記する方法で、手書きやパソコンによるものがあります。また、表記したものをスクリーンで複数の人々に見せる方法と、紙などを用いて個人に見せる方法があります。人によって必要なコミュニケーション方法が異なるため、不特定多数の人が参加する催しには、両方を用意することが望ましいとされています。

本市の手話通訳者の登録数は27人で、要約筆記者は14人です。一方で、市内の聴覚障害者の各通訳利用登録数は手話通訳が160人、要約筆記が40人であり、まだまだ足りない状況です(平成30年3月時点)。
 

◆聴覚障害者コミュニケーション支援センター
国の示した養成課程を修了し守秘義務を課した手話通訳・要約筆記者の派遣が利用できます。7月2日に市役所中館1階に移転しました。

◆窓口でテレビ電話での手話通訳が可能
南北保健福祉センターと保健・福祉申請受付窓口では、テレビ電話を用いて、市役所に常駐している手話通訳者による手話通訳が利用できます。

編集後記

取材の一環でミーツ・ザ・福祉のミーティングに参加し、スタッフの方のブログなどを読み込んでいく中で、皆さんが「障害のある人/ない人」というより「私/あなた」で捉えているようなのは本当にすてきだなと感じました。

私の目の前にいるあなたが、自分らしくその場を過ごすために、私に何ができるだろうと考えること。それは一方通行ではなくて、あなたも私のことを気に掛けてくれる。普段家族や友だち、仲間と過ごすときとまったく同じことなんだと、当たり前のようで当たり前に考えられていなかったのだなと、改めて気付かせていただきました。

このページに関するお問い合わせ

総合政策局 政策部 広報課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館2階
電話番号:06-6489-6021
ファクス番号:06-6489-1827
メールアドレス:

  • ama-koho@city.amagasaki.hyogo.jp (市報あまがさき等)
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