尼崎と日本の伝統芸能のゆかりを訪ねて(市報あまがさき平成26年7月号)

ツイート
シェア
LINEで送る

ページ番号1007204 更新日 平成30年3月28日

印刷大きな文字で印刷

画像

尼崎の大物周辺が、日本の伝統芸能の「能」と「浄瑠璃」の舞台となっていることをご存じですか。尼崎とこれらの伝統芸能とのつながりを紹介するとともに、市内で伝統芸能を学ぶ子どもたちの姿をお伝えします。

能の舞台・大物浦

能の「船弁慶(ふなべんけい)」では、当時、まだ海岸であった尼崎の大物浦を舞台とし、物語が展開します。前半では、兄・源頼朝(みなもとのよりとも)と対立の末、九州に逃れることになった源義経(みなもとのよしつね)が静御前(しずかごぜん)と別れる場面、後半では、大物浦から船出しようとした義経に、武将・平知盛(たいらのとももり)の亡霊が襲いかかり、弁慶がお経を唱えて、霊を鎮める場面が描かれます。
史実としては、静御前と別れた地には諸説あるようですし、亡霊のシーンも作者の創作です。しかし、「船弁慶」は静御前の舞の哀(かな)しさと知盛の激しい怨念の対比が劇的で、人気の演目の一つとなりました。また、大物浦は浄瑠璃の「義経千本桜」の舞台にもなっています。
海辺であった中世の大物に思いをはせながら、古典芸能の世界にふれてみませんか。

義経ゆかりの地 MAP

画像

  • 大物主神社(おおものぬしじんじゃ) 義経が頼朝から逃れる際に、この神社の近くに身を潜めたとされることから、境内に「義経(よしつね)弁慶(べんけい)隠家跡(かくれがあと)」の碑がある
  • 大物川緑地 かつては大物浦と呼ばれた入り江の名残。義経が船出したのは、この付近であったといわれている
  • 辰巳八幡神社 境内に残る碑に、この辺りが、義経と静御前が別れを惜しんだ地であったことが記されている

伝統芸能を次世代へ

市内で伝統芸能を子どもたちに教える皆さんに、伝統芸能を通じて伝えたいことを伺いました。

「自分はこれができる」という自尊感情を育んで

下坂部小 浄瑠璃クラブ

下坂部小の浄瑠璃クラブは、近松門左衛門ゆかりの広済寺(こうさいじ)が校区内にあることから、郷土学習の一環として平成3年から続いています。今村七美校長先生は「浄瑠璃をきっかけに、自分の住んでいる地域やふるさとについて知ってほしいと思っています。大人になったとき、浄瑠璃の体験が誇りや自信、『自分はこれができる』という自尊感情につながれば」と語ります。
6年生の晄加奈(ひかりかな)さんに活動の感想を尋ねると「動きがダイナミックなところが楽しいと感じます。伝統芸能に触れる機会は貴重で、面白いです」と答えが返ってきました。

画像

三味線の練習をする子どもたち

画像

元気よく練習をする晄加奈さん

能は辛抱の芸。我慢強い人に

尼崎こども能楽教室

観世流能楽師・山村啓雄(ひろお)さんは、能の世界に入って68年になります。12年前からは、月に2回土曜日、塚口町6丁目で、尼崎こども能楽教室を開き、小・中学生に能を教えています。
「船弁慶の見どころは、知盛の亡霊が義経一行に襲いかかる場面。能を見たことがない人は多いと思いますが、きらびやかな衣装や表情の違う面(おもて)を見て、形からでも興味を持ってほしい。船弁慶では、小道具として竹でできた舟が出てきますが、能の世界では、小道具は全て能楽師の手作りなんですよ。そこも見どころの一つかな」と語ります。
能の稽古については「子どもにとって能はちょっと退屈なもの。私も子どものときはそうでしたが、16歳くらいから面白いと感じるようになりました。能は辛抱の芸なんです。正座一つにしても、子どもには辛い。でも、辛抱強く続けることで、我慢強く、人への思いやりを持てる人になってほしい」
教え子の武庫中2年生の土居章人(どいあやと)さんは「小学3年生から始めて、今年で6年目になります。能の面白いところは、物語になっているところ」と話してくれました。
同教室の子どもたちの練習の成果は、「富松薪能」と「尼崎薪能」で披露されます。

画像

「これはゴマをすっている動作を表している。分かるかな」。山村啓雄さんに稽古をつけてもらう土居章人さん

画像

ほかの子どもの指導の間は、能舞台の下で、正座してじっと見学します

編集後記

今月号では、尼崎の伝統について迫った。表紙写真では大物主神社を取り上げたが、ここは義経一行が頼朝から逃げる際にたどりついた場所で、能の「船弁慶」の舞台にもなっている。

尼崎といえば高度経済成長期に発展した工業都市というイメージを持つ人が多いが、市内には寺町や尼崎城址公園、それに田能遺跡など、多くの史跡があり、古来から栄えていた都市ということが分かる。そういった尼崎の歴史を次世代へ語り継ぐことをしている尼崎子ども能楽教室と下坂部小学校の浄瑠璃クラブを取材した。能楽教室の観世流能楽師の山村さんは子どもに能の技術だけを教えるのではなく、能を通して我慢強い人になってほしいと願いながら指導をしているのが印象的だった。

(担当F)

このページに関するお問い合わせ

総合政策局 政策部 広報課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館2階
電話番号:06-6489-6021
ファクス番号:06-6489-1827
メールアドレス:

  • ama-koho@city.amagasaki.hyogo.jp (市報あまがさき等)
  • ama-koho2@city.amagasaki.hyogo.jp (あまっこ・尼ノ國等)