知ってほしい。「認知症」(市報あまがさき平成27年7月号)

ツイート
シェア
LINEで送る

ページ番号1007197 更新日 平成30年2月21日

印刷大きな文字で印刷

画像

「徘徊(はいかい)をするなど、認知症は訳の分からない病気だ」と思っていませんか。
認知症の原因や症状には、さまざまな説があります。
一方、認知症の人と日ごろ関わる人にとっては、それぞれの立場で実感する「認知症の実態」があるようです。今月号では、医師や家族、介護関係者に話を伺いました。
この特集が、認知症を知り、認知症の人を見掛けたら優しい気持ちで声を掛け合おうと思っていただけるきっかけになれば幸いです。

認知症は誰もが通る人生そのもの

画像

「認知症はどんな病気で、薬はあるのでしょうか」という素朴な疑問に、市内の医療機関で、認知症の人やその家族を診察する精神科医の田口隆司さんに答えていただきました。

認知症は人間全員にいつかは見られる「症状」

認知症は、頭痛などと同じで、「病名」ではありません。程度の差こそあれ、人間全員にいつかは見られる「症状」です。そのことを頭の隅に置いて、話をお聞きください。
認知症は、脳の細胞が死んだり、働きが悪くなったりして起こります。原因は、アルツハイマー病と脳血管障害が7割程度を占めているといわれていますが、ほかの原因が重複して発症する場合も多いようです。

「今までと何か違う」と感じたら受診を

加齢による物忘れとの違いをよく尋ねられるのですが、厳密な物差しがあるわけではありません。ただ、日常生活に支障が出るような状態であれば、認知症かもしれません。例えば、おしゃれが大好きだった人が、服装に気を使わなくなったなど、これまでとは違う印象があれば、早めにかかりつけ医などに相談してください。穏やかだった人が怒りっぽくなったなども一つのサインです。

行動の変化などの記録が診断や治療の一助に

行動の変化や、どんなときに徘徊などの症状が出るのかを、家族や介護する人は記録しておきましょう。記録を確認できれば、初診のときには診断がスムーズになりますし、治療しながら、進行の程度や対処方法を探っていく一助にもなります。

治癒させる薬はないからこそ、早期発見を

今、「認知症の薬」とされているのは進行を遅らせるもので、「治す」ための薬は研究段階です。だからこそ、早期発見と早期治療が大切です。
医師として認知症の診断をお伝えするときには、ほかの病気とは違った重みを感じます。先が長い病で、人生そのものと言えるかもしれません。治療には限界があり、介護の重要性が増しています。関連機関との情報交換などを大切にしながら、認知症の人の地域での生活を、家族や介護者と一緒に支えていきたいと思います。

DATA

画像

【人ごとではない認知症】

国の調査結果を基に推計すると、市内在住の65歳以上の認知症の人は、平成27年には約1万2000人、平成37年には約1万5000人になる見込みです。

認知症は心まで失う病ではない

画像

認知症の人を介護する家族が集まり、情報交換や学習をしている尼崎市認知症介護者の会の会長・安藤一夫さんと、会員のAさんとBさんに、認知症の人と共に生きることについて語っていただきました。

  • 尼崎市認知症介護者の会 平成14年設立。毎月第3水曜日午後1時~3時、すこやかプラザで、定例会などを開催。
  • Aさん 約4年半、アルツハイマー病の夫を介護し、半年前にみとる。
  • Bさん 約2年前から、認知症の母を介護している。

介護を通して、人間の尊厳について考える機会をもらった

Aさん 認知症の介護に携わる誰もが持つ悩みは、本人に対してイライラしてしまうことですね。仕方ないと分かっていても、怒鳴ってしまうこともありました。


安藤さん そうですね。介護者も人間ですから、同じことを何度も聞かれるなどすると、ストレスがたまるのは事実です。


Bさん 介護者の会を通して、介護の先輩や仲間ができ、随分いろいろなことを教えていただきました。


安藤さん 悩みや知識を共有し、ストレス発散の場ともなるのが介護者の会です。認知症の人の介護は絶対に一人では無理だと思います。でも、一番つらくて悲しいのは本人です。その悩みを家族として理解し、受け入れ、意思を尊重することが重要です。認知症のため、できることは少なくなっても、心まで失うわけではありませんから。私も母を介護して、改めて人間の尊厳について考えさせられました。

認知症の人にも「役割」を

安藤さん 社会的な「役割」を認知症の人にも持ってもらうことが大切、という考え方が広まりつつあるようです。母親が認知症を発症したある親子は園芸を始め、母親に土を掘る仕事を担当してもらったところ、母親が元気になり、園芸についての会話を楽しむようになったそうです。介護する側もされる側も、園芸作業を通して介護だけではない関係を築き、お互い精神的に自立できたことが良かったんですね。


Aさん
 夫が認知症になってからは、私が家事を全部していましたが、間違った優しさだったかな。できることを任せていたら、認知症の進行は遅かったのかもしれません。自分の体験について、介護者の会を通して多くの人に知ってもらいたいです。

認知症はその人の歴史の一部

画像

大庄南地域包括支援センターの出口百合子さんに、日々寄せられる高齢者の相談や、認知症の人や家族との関わりを通して感じたことについて語っていただきました。

【地域包括支援センターは、高齢者の地域での生活を支援するため、市内12カ所に設置されています。普段はどういう仕事をされていますか】

介護保険の申請を手伝ったり、退院して在宅生活になる高齢者を見守る体制づくりをしたりしています。高齢者の虐待や生活の困窮に関する相談を受け、行政や医療機関などと連携して解決に向けて取り組むことも仕事の一つです。

【認知症についての相談は週に2~3件だそうですが、どのようなものが多いですか】

病状が中度以上に進行し、家族から相談されるケースが多く、本人自身は認知症であることを理解できず、介護サービスを拒否されることもしばしばです。また、単身高齢者が多いため、民生委員や近所の人が「徘徊している人がいる」などと相談に訪れることもあります。

【認知症の人に対するとき、大切なことは何でしょうか】

自分が認知症になったら周りに何をしてほしいかを基準に考えた上で、本人が今できることを大事にしてあげてください。例えば、認知症の人の中には、100円の商品を買うとき、財布に100円玉がたくさんあっても千円札で支払ってしまう人がいます。そんな人を見掛けたら、「買い物をしてあげましょう」ではなく「100円玉はありますか」と声を掛けましょう。
また、認知症の人は、相手の感情をうまく読み取れないことがあるので、怖い顔をせず、笑顔で接しましょう。

【認知症について、高齢者やその家族にアドバイスを】

高齢者は地域の人と顔見知りになっておき、異変があったときにキャッチしてもらえるようにしておきましょう。そして、自身や家族がおかしいな、と感じたら気軽にご相談ください。一人の人の歴史があり、その延長線上で、たまたま日常生活に支障が出るような病気にかかったのが認知症です。家族は、その人の歴史やその人らしさを大事にしたサポートができるように、本人が自分で今後のことを決められるうちに、いざというときの入院先の希望などを聞いておきましょう。遠方に住んでいる場合は、電話をかけるだけでも支えになります。

【今後の取り組みを教えてください】

啓発の機会を増やして、より多くの人に、認知症は「訳の分からない怖いもの」ではないと気付いてもらいたいと思っています。また、若年性認知症で困っている人がいたら、一緒に解決を図りたいです。

編集後記

認知症は、確実な予防策はないようですが、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のコントロールと、ウオーキングなどの日常的な有酸素運動については、現時点で医学的根拠があるそうです。また、食事に気を付け、多くの人と交流することも推奨されています。

いくつになっても元気で過ごすためには、適切な生活を継続することが大切なのですね。
ある高齢者施策に携わる職員は、日々の業務の中で様々な人に出会ううち、「認知症予防は、取り組む事柄より、日常の生活を 自分らしく 生き生きと活動し続けること かなぁ」と思うようになったとのこと。心も身体も健康に暮らすために、自分なりの何かを見つけたいと思うこの頃です。

(担当N)

このページに関するお問い合わせ

総合政策局 政策部 広報課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁中館2階
電話番号:06-6489-6021
ファクス番号:06-6489-1827
メールアドレス:

  • ama-koho@city.amagasaki.hyogo.jp (市報あまがさき等)
  • ama-koho2@city.amagasaki.hyogo.jp (あまっこ・尼ノ國等)