2 学びは社会とつながるパスポート

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印刷 ページ番号1013435 更新日 2018年8月29日

船木:学びは社会や地域とつながるパスポートと考えると、皆さんにとって学びを通して地域へつながる秘訣は何なのでしょうか?

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宏林:これはおとなりにおられる江田さんから教えてもらったのですが、社会とは「お宮(社)で会う」と書きます。かつて村の決め事はお宮の中で形成されていた、まさしく地域のコミュニティの中心でした。ですが、寺子屋や神社のお祭りがだんだん廃れ、公民館に変わり行政サービスとなり、「無縁社会」と言われるようになりました。人間の本質としてある「つながりたい反面1人になりたい」という喘ぎと高度成長期の中で、便利になった裏側には無くしたものもある。それが人と人とのつながりや絆だと思うのですよ。そういうものをどうやってつなげていくかが課題だというのは、まさにその通りですね。

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濱田:つどいの広場にはいつも若いお父さん、お母さんがお子さんと遊びに来てくれます。そこで私たちが伝えていかなければならないことがたくさんあると思うのです。

よく「今時の若い子はねえ」という人もいれば、「私たちが教えてあげなければ!」という人もいて、二手に分かれますね。私は、つどいの広場で“今の若者は・・・”と嘆いているだけではなくいろいろなことを伝えてあげてほしいとスタッフに言っています。話をすると「知らなかった!そうするといいのですね!」と言って喜ばれます。わかって貰えるよう伝える努力も必要だと思いますね。

宏林:まさしく意味づけですね。人生の通過儀礼や儀式で考えてみると、七五三のことを若い人は神社に行くのではなく写真を撮りに行くものだと思っている方もおられると江田さんからお聞きしました。また、私の経験なのですが、法事ごとで若い人から「お仏飯ってどんなパンですか?」と聞かれた時はビックリしました。なんでも簡略化されて、意味づけして伝えられていくことがどんどん薄れているのですよ。お葬式でいうと直葬や葬式無用論がでてきましたが、東日本大震災をきっかけに見直されてきていますね。生きる力、つまり別れをどのように受け止めていくのかの意味づけを伝えていくことの大事さを感じます。

濱田:おばあちゃんの知恵袋みたいな話を教えてあげることも多いですが、知っていて簡略化するのと、知らないまま楽だから省くのとは違うと思うのです。親が知らないことやしないことはそのまま子どもにも知らないままで伝わってしまう。知らずに大人になって困るのは本人だと思うと、伝えていかないといけませんね。

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江田:今学校では地域で学ぼうという動きが出ていて、授業の一環として地元の小学生が神社に話を聞きに来ます。その時、なぜこのお宮はここにあるのかという話をします。

名前の通り、貴布禰神社は京都にある貴船神社が総本社なのですよ。実はうちの神社には上賀茂神社と下鴨神社の神様も祀られています。それは昔長洲のあたりが京都の鴨社の荘園となっていて食材を調達する場だったという歴史があるからなのです。尼崎は公害という負のイメージが先行していますが、古くからのお寺、神社など歴史的に良いものがたくさんあり、京都ともつながりが深いことをほとんど活用できていない。子どもたちには、京都にとって尼崎は大切な存在だった、そのまちに住んでいることを誇りに思おうよ、と話します。自分達が住んでいるまちを誇りに思える学びをもっと伝えていきたいと思っています。

船木:私のまちづくりで大切にしていることに、「そのマチを好きな人に出会うとそのマチを好きになる」ということがあります。外から来た人にとっては初めて出会う人が、そのまちの第1印象となるので、その最初に出会う人がまちを好きな人であるかどうかで、その後の印象が大きく変わる。だから地域で活動している人がたくさんいることや、市の職員がまちに対して興味を持つことがとても大切だと思います。

江田:年配の人は住み慣れた良いまちだと思っているので、あらためてまちを見直してここが良いとこだなとは思われないのですよ。ただ、だめと言ったら怒りますね(笑)。以前、住みにくいまちですと文章を書いたとき、なんてことを書くんだと言われたことがありました。年配の方と話してみると確かにこれほど住みやすいまちはないなと思います。

宏林:私は九州出身なので外から来ましたが、尼崎は住みやすいまちだと思います。

濱田:住みやすくても若い人は転勤族が多くて、長く住んでもらえないケースもありますね。

船木:市のデータを見るとJRから北側は転勤族が多くて、人の出入りが多いんです。

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濱田:転勤族のお母さんが出て行く時に「いいとこでした」ってみんな言ってくれます。バスに乗っても声をかけてくれるし、市外へのアクセスも便利だし、「こんな住みやすいとこはなかったです」と言って、みんな出ていきます。

船木:出て行く時に気づくのですね。外から入ってくる時はわからなかったけど、来て良いところだとわかった時には転勤のタイミングになってしまうのですね。

宏林:昔は尼崎と言わずに「武庫之荘から来ました」「神戸の方から・・・」と曖昧に答えることが多かったですよね。

江田:今はJR尼崎駅が発展し、昔ほど言わないのかもしれませんね。「J尼」と言うこともありますね。

濱田:でも「あま」って言えるのは、日本中、世界中であま(尼)だけってね。

宏林:まちを略すのは世界で3つしかないって。ロスとリオとあま(笑)。尼崎の漫談家はよく使っていますね。

船木:ロスはアメリカではLAって言うので、あれは日本で作ったネタですよね(笑)

濱田:なるほど(笑)

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