尼崎市内陸部工業地の土地利用誘導指針
土地利用誘導指針策定の背景
尼崎市は工業都市として発展してきましたが、そのことが、土地利用に係る都市計画である用途地域の面においても、「主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便の増進を図る準工業地域」及び「主として工業の利便の増進を図る工業地域」並びに「工業の利便を増進する工業専用地域」の指定面積が市街化区域の3分の1を超えていることなどに表れています。
これらの工業地は、第2次基本計画において、「産業都市として企業の操業環境を維持するとともに、新しい技術産業等の立地の誘導に努める。」ことを土地利用の基本としており、本市における土地利用の骨格となるものです。
工業地の利便の増進を図るため、用途地域ごとに建築基準法による建物の用途規制が行われているところですが、工業専用地域以外は、住居系、商業系の建築物の建築が認められていることから、それらの混在によって操業環境や住環境などの面での支障が生じている状況にあります。
この状況に対しては、これまでに、工業地の操業環境を守るため、また、住宅地との混在による問題を解消あるいは回避するため、本市独自の制度として、住環境整備条例による住宅建設に対する規制・誘導策などの取組を講じてきたところですが、社会経済情勢や産業構造の変化が続くなか、一層の取組が必要であると考えています。
土地利用誘導指針の目的
この誘導指針は、工業地域及び準工業地域内における土地利用の誘導方向と方途を示すことにより、「都市計画に関する基本的な方針」に基づく具体的な都市計画を定める際の基本的な考え方として策定したものです。
策定に当たっては、まず、工業地域・準工業地域の別に、幹線道路や鉄道等で囲まれた一定の区域に細区分し、各地区における土地利用の状況や動向をもとに、「工場が集積し、今後とも工業地として保全する地区(工業保全ゾーン)」と「工業保全ゾーンの中でも広大な敷地を有する工場及びそれらが一団なった地区(大規模工場立地ゾーン)」並びに「工業地と住宅地等が混在し、今後、共存又は分離を目指す地区(工業複合ゾーン)」の3つに区分しています。そして、その区分ごとに、地区の状況の例示とともに土地利用誘導にあたっての基本的な考え方を示しています。
内陸部土地利用誘導指針
工業保全ゾーン・大規模工場立地ゾーン
(原則、住宅系土地利用比率が20%以下の地区)地区の状況の例
- 工場の周辺に住宅等が立地しているが少数であり、土地利用にも変化が見られない地区
- 新たな共同住宅等の立地があるものの緩衝緑地帯の設置などにより工場の操業環境との調和が図られている地区
- その地区の立地性などからみて、住宅系土地利用が適切でない地区
- 単独または一団の工業系の建築物によって構成される地区(大規模工場立地ゾーン)
土地利用誘導の方向
操業環境の保全を基本とし、地区の状況にも留意して、次のような建築規制により土地利用の誘導を図ります。
- 操業環境を阻害する新たな住宅や店舗等の建築物を規制
- 既存住宅との調和を図るため、住環境阻害を増大させる建築物を規制
工業複合ゾーン
(原則、住宅系土地利用比率が20%を超える地区)地区の状況の例
- 古くからの混在地として、土地利用にあまり変化が見られない地区
- 工業系土地利用から住宅系など他用途への土地利用転換が進む地区
- 商業・業務系の建築物が混在する地区
土地利用誘導の方向
多様な市街地形態を有していることから、既存工業施設の操業環境の保全を基本としつつ、住環境にも配慮して、各地区の特性に合った建築規制により土地利用の誘導を図ります。
- 工業系土地利用の比率が高い地域については、新たな住宅等の建築物を規制
- 住宅系土地利用への転換が進む地区については、建物の高さ等の形態規制や住環境に影響を及ぼす建築物を規制
- 工場と住宅がそれぞれ相当数立地する地区については、操業環境、住環境の共存を図るため、建築物の外壁後退や構造に係る規制
- 駅周辺や幹線道路沿道の交通至便な地区については、商業系の建築物を許容
住宅系土地利用比率=住宅系土地利用/(住宅系土地利用+工業系土地利用)
工業系土地利用:工業地、運輸・流通地、業務地
住宅系土地利用:住宅地、学校用地
達成の方途
- 各地域の土地利用誘導の内容については、この誘導指針の考え方をもとに、関係者の理解を得ながら、用途地域制度並びに同制度の補完制度である特別用途地区制度や地区計画制度を活用し、具体化を図ります。
- 個々の建築行為を誘導する「尼崎市住環境整備条例」や「尼崎市商業立地ガイドライン」などの既定の制度との連携手続を検討します。
用語の説明
用途地域制度
良好な市街地環境の形成や、機能的な都市活動の確保を目的として、住宅地、工業地、商業地など市街地の大枠としての土地利用を定める制度。
特別用途地区制度
用途地域が定められた地域において、その地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため定める制度。具体的な建物用途規制については、建築基準法第49条の規定により市の条例として定める。
住工共存型特別工業地区
平成22年1月4日都市計画決定告示された特別用途地区。住宅と工場が複合的に立地している地区(従前は住居系指向地域)において、住環境に配慮した工場等の立地の誘導を図るとともに、住環境、工場の操業環境いずれの面からもふさわしくない土地利用を制限するため、特別用途地区を定め、建物用途の適正な誘導を図るものである。また、住環境の保全を図り、住工共存ができるまちづくりを進めるため同地区に第5種高度地区の指定を行っている。
地区計画制度
各地区の特性にふさわしいまちづくりを誘導するための計画。まちづくりの目標と方針を掲げ、その具体化のための整備計画として建物の用途、高さ、面積など建築に係る制限などを定める。定められた制限については建築基準法第68条の2の規定により市の条例として定めることができる。
尼崎市都市計画に関する基本的な方針
尼崎市の都市計画における将来像や方針を示したもの。
方針では、内陸部工業地に係る土地利用の整備方針として、「既存工業の高度化、環境改善、研究開発機能の導入などにより、工業構造の都市型化と安全で快適な内陸部の工業地を形成する。住宅地と隣接した既存工業地は、工業地として保全するか住宅地へ転換するかを明確にする。また、住工混在地においては、住・工いずれかの機能に方向づけるなど、用途の純化を基本としつつ、良好な生産環境を確保する。」ことを示している。
尼崎市住環境整備条例による建築誘導
- 緩衝緑地帯の設置
住宅建設を抑制し、工場の操業環境保全を図るための方策。
工業地域内で新たに住宅建設する場合は、敷地の境界に沿って幅員6メートル以上かつ事業施行地積の25%以上の用地を緑地帯として整備し、その用地については敷地面積に含まないこととしている。 - 指向地域の指定
準工業地域の一部を、工業の操業環境を保全する地域として工業系指向地域に指定し、上記緩衝緑地帯設置の基準を適用している。
尼崎市商業立地ガイドライン
市内を8種類のゾーンに分け、ゾーンごとにまちづくり面からの商業機能の方向並びに大型商業施設に対する誘導・規制の考え方を示したもの。
(注)ゾーニング図及び用語の説明の一部修正(平成22年3月) : 平成22年1月4日告示の住工共存型特別工業地区の創設に伴う住居系指向地域の廃止による修正
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