平成23年度施政方針 (平成23年2月21日 第11回市議会定例会)

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ページ番号1008552 更新日 平成30年2月23日

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施政方針演説の様子

「未来へつなぐ」

 

 第11回市議会定例会の開会に当たりまして、平成23年度の市政運営に対します所信を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。

  昨年12月に、市民の皆様の信託を得て、尼崎市長に就任いたしましたが、改めて身の引き締まる思いと職責の重大さを感じつつ、平成23年度の予算編成に取り組んでまいりました。

  我が国は、バブル崩壊後、長期にわたるデフレ、そして急速に進む人口減少や少子高齢化という、世界のどの国も経験したことのない未知の難題に直面しています。そうした中で、国においては、景気回復に向けた経済対策として、リーマンショック以降、財政出動や金融緩和策などを実施してきたものの、円高等の影響もあり、本格的な回復への手掛かりをつかめていません。現状においても、消費者物価指数が下落するなど、いまだデフレからは脱却できない状態にあり、雇用情勢も厳しさを増しており、国民は閉塞感の中で安心と希望を見出せていない状況です。
 本市においても、国の経済対策を活用するなど、様々な取り組みを行ってきましたが、有効求人倍率は依然低い水準にあり、求人数も低位で推移するなど、経済雇用情勢は厳しい状況が続いています。

  経済が成長し、物質的な豊かさを求めて発展を遂げてきた、いわゆる成長社会から、物質的な環境が整い、人口減少、少子高齢化、グローバル化の進展などにより、人々の価値観も多様化し、本当の豊かさや安心が求められる、成熟社会に変化しているにもかかわらず、社会の仕組みとして、新しい時代の要請に対応しきれていないことが、大きな課題となっています。
 現代社会は、様々な利便性を享受してきましたが、多くの人々は何か満たされず、不安を抱きながら生活しています。今、私たちに求められているものは、物質的な豊かさだけではない、心の豊かさ、生き甲斐、人と人とのつながりを大切にするなど、成熟社会にふさわしいまちづくりを進めていくことではないでしょうか。
 幸いにも尼崎は、人情味があり、市民活動が盛んで、様々な課題を、地域のつながりの中で解決してきた経験など、成熟社会にふさわしい条件を備えたまちです。成熟社会という新しい時代の到来は、その変化を乗り越えて、これまで培ってきた有形無形の資産を有効に活用し、私たちのまちを、力強く前進させていく大きなチャンスでもあります。
 この尼崎から時代をリードして、成熟社会にふさわしいまちづくりを進め、安心で希望あふれる尼崎を未来へつないでいきます。

  私が政治を志す原点となりました、阪神・淡路大震災から16年がたちました。
震災直後、行政が混乱する中、いち早く住民が団結、連携し、ボランティア組織も立ち上がり、様々な支援がはじまりました。その支援は地域に広がり、近隣での支え合いが生まれ、今も続いています。私自身もボランティアとして活動する中で、このような地域の力の素晴らしさを、身をもって実感しました。
 住民自らが考え、動くことが問題解決につながり、やがて疎遠だった近隣者にも支え合いの輪が生まれ、それらの取り組みが継続されることで地域力が育ち、まちが発展し、持続していくことこそ、成熟社会に求められるまちの姿であると考えます。
 そうしたことから、私は、「コンパクトで持続可能なまち」、「信頼と分かち合いのまち」、「市民自治のまち」という三つの柱を目標として、「まずは自分から」という信念で取り組み、成熟社会にふさわしい、尼崎のまちづくりを、市民の皆様とともに進めていきたいと考えています。

 

(市政運営の基本的な考え方及び主要な施策)

 それでは、市政運営の基本的な考え方とともに、主要な施策について申し上げます。
 厳しい財政状況の中にありましても、将来のまちづくりを見据え、市民の健康づくりや生活の安心・安全の確保、子育て支援や学力向上、環境保全や産業の振興、雇用の支援などの行政課題に対して、限られた財源を有効に活用しつつ、新たな施策を実施していきます。

 

 まず、第一は、「コンパクトで持続可能なまちづくり」です。

 持続可能なまちづくりを進めていくためには、私たちの暮らしを、人にも環境にも優しい形に変えていくとともに、それを支える産業との共生を目指す取り組みを進めていくことが重要であると考えます。

 地球の平均気温は、この100年で0.74度上昇しており、地球温暖化による気候変動によって、世界中で様々な異常気象が多発し、結果、多くの被害が出ています。日本においては、この100年で約1度上昇しており、世界平均を上回る値になっています。
 大量生産、大量消費、大量廃棄という、社会経済活動が要因とされる地球温暖化問題は、将来世代の生活に大きな影響を与えることが懸念されており、環境負荷を低減しながら、持続的な社会経済活動を行う、循環型社会への転換が求められています。
 今を生きる私たちが、受け継いだ環境を悪化させることなく、次の世代に引き継いでいかなければならないことを、誰もが自覚し、そのための取り組みを積極的に行っていくことが必要です。
 尼崎は、住居や商業、公共施設等の都市機能が集積していると同時に、高い技術力を持った企業が数多く立地する産業都市で、公共交通の利便性も高く、起伏が少なく平坦であるため、自転車や徒歩移動に適しており、車に頼らずとも生活ができる暮らしやすいまちです。
 また、公害問題の歴史の中から学んだ蓄積もあり、市内産業の中からは、環境の時代を先駆ける新しい技術や製品も生まれつつあります。
 このように、尼崎は、成熟社会にふさわしい、「コンパクトで持続可能なまち」をつくりあげていく条件を兼ね備えていると考えます。
 厳しい財政状況の中にありましても、本市の特性を踏まえ、市民の皆様と意見を交わしながら、戦略的に持続可能なまちづくりをデザインすることにより、産業と環境の共生、市民生活の安心、生きがいや文化に支えられた生活の質の向上を図り、住み続けたいまち、訪れたいまち尼崎を目指していきます。

(主要な施策)

 経済と環境の両立による地域産業の活性化を図るため、中小企業等のエネルギーコスト軽減と同時に、二酸化炭素排出削減が可能となる「国内クレジット制度」の利用促進を図るとともに、無料省エネ診断や、省エネ設備導入補助の支援等を行う「中小企業エコ活動総合支援事業」を実施していきます。
 市内で生産されている、環境負荷の低減に貢献している優れた工業製品を発掘、評価・表彰することを通じて、ものづくりにおける環境への役割・貢献度について広報を行います。そのことにより、環境産業へのイメージアップを図り、本市が環境と産業の共生するまちを目指すことについて、内外にアピールしていきます。あわせて、環境への取り組みを、積極的に進めている事業者のネットワークをつくることで、事業者間のコミュニケーションを促し、効率的かつ効果的な環境保全活動を推進する「あまがさきエコプロダクツ支援事業」を実施していきます。
 また、昨年11月の産業界5団体との、「ECO未来都市・尼崎」宣言を踏まえ、市内の経済団体や様々な主体と、さらに連携を進めていきます。
 各家庭における環境への取り組みにつきましては、電気・ガス等の使用量を記録するウェブ版環境家計簿や、二酸化炭素排出量を可視化する機器の活用、親子環境映画会の開催など、自発的な取り組みの促進を図る「エコチャレンジあまがさき推進事業」を実施していきます。
 これらの取り組みは、今年3月に策定予定の「第2次尼崎市地球温暖化対策地域推進計画」に位置づけ、他の環境施策とあわせて、外部の視点を取り入れた、施策の評価を行いながら推進していきます。
 本市においては、子どもが小・中学校へ就学する段階で、より広い住宅を求めて市外へ転出する傾向があります。そこで、現在実施している「ファミリー世帯住宅支援事業」につきまして、対象を中学生以下の子どもを扶養する世帯とすることや、面積要件の引き上げ、利子補給型から住宅購入時の一括支給型へ変更するなど、事業の転換を行うことで、子育てファミリー世帯に適した良質な住宅普及と、市内への定住促進を図っていきます。

 本市には、市外の方も関心を寄せる、誇るべき歴史や文化、産業、商業の地域資源が数多くあります。平成21年度から、JTB西日本と進めています「尼崎で観光・あまかん事業」などにより、まちの魅力の発信や誘客事業を行う中で、少しずつ観光振興の機運が広がりつつあるものと考えています。
 今後は、本市で初となる観光総合パンフレットや、まち歩きマップなどによる、まち情報の発信の強化に努めていきます。

 本市の公共施設は市民共有の資産であり、まちづくりの貴重な資源であると考えますが、今後は、人口減少や少子高齢化の進展に伴い、コストと便益の最適化を図っていく必要があります。そこで、戦略的な観点から、公共施設の保有、処分、活用方策等について「ファシリティマネジメント」の考え方を導入し、来年度は、今、本当に求められている施設の機能と再配置について検討を進めていきます。
 また、学校耐震化工事を引き続き実施していくとともに、市営住宅につきましても、建て替えや耐震化に向けて、まずは耐震診断等を行っていきます。

 市民一人ひとりが、いきいきと暮らし働くための資源となるのが健康です。「ヘルスアップ尼崎戦略事業」は、対処から予防への取り組みの成果として、脳卒中などの生活習慣病による入院件数や、新たな人工透析の導入者が減少したことにより、医療費が減少するなどの効果が現れてきています。
 このような取り組みを、各ライフサイクルに応じて全庁横断的に進めていくため、「尼崎市生活習慣病予防ガイドライン」を策定し、科学的根拠などに基づいた取り組みを進めることで、市民の健康寿命の延伸と後天性障害の発生予防を目指し、その結果として、医療費や扶助費等の健全化を図っていきます。
 なお、生活習慣病予防の実現に向けては、市民一人ひとりに、その必要性を認識していただくことが重要となるため、ガイドラインの推進に向けた市民啓発、学習会を行うとともに、若い時期からの対策が必要であることから、中学生等を対象とする生活習慣病予防に向けた取り組みを実施していきます。
 妊婦が、より健康で安定した出産を迎えることができるよう「妊婦健診事業」を拡充し、成人T細胞白血病の母子感染を防止する「HTLV-1抗体検査」など、新たに3つの健診項目を追加します。
「予防接種事業」につきましては、乳幼児の細菌性髄膜炎を防ぐヒブワクチンや、子宮頸がんワクチンなどの接種により疾病を予防し、市民の健康を保持するために引き続き実施していきます。
 持続可能なまちづくりを推進していくためにも、その担い手である市民が、健康で、いきいきと、安心して暮らしていけるよう、取り組みを進めていきます。

 

第二に、「信頼と分かち合いのまちづくり」です。

 高齢化の進展と雇用情勢の悪化などから、格差と貧困の問題が年々顕著となり、様々な理由によって人々が社会から排除されていることが課題となっています。ネットカフェなどでの生活を余儀なくされた若者や、地域との関係が希薄になった一人暮らしの高齢者など、年齢にかかわらず「孤立化」する傾向にあり、そこから病気や貧困に至る場合も増えています。人は誰も一人では生きていけず、孤立から自立は生まれません。このような課題を解決するためには、個人の努力だけではなく、相互の理解と信頼に基づく、分かち合い、支え合う社会が確立されなければならないと考えます。そのためには、誰もが希望を持ち、安心して暮らせる地域をつくり上げていくことが急務であり、様々な社会保障制度が、公正・公平性を備える仕組みとして十分に機能することが必要です。
 核家族化や地域とのつながりが希薄化したことにより、子育て経験のある祖父母や近隣者から助言や協力を得ることが難しくなり、子育て中の親の孤立感、負担感が大きくなっています。また、学校教育においては、平成22年度に実施された学力・生活実態調査の結果などから、本市の子どもたちは、小学校から中学校へ学年が進むにつれて、学力や学習意欲の低下が見られます。
 子どもたちが、健全に、いきいきと、そしてたくましく成長し、主体的・積極的に、地域社会へ参加していける人材となるよう、子育て支援や教育施策の充実を図っていきます。
 尼崎の強みである多様性を活かして、あらゆる人権が尊重され、誰もが排除されることなく希望を持って生きられるまち、人と人のつながりが、さらに新しい活気を生み出すまちを目指していきます。

(主要な施策)

 依然として有効求人倍率が低迷しているなど、本市の雇用情勢は非常に厳しい状況です。人は仕事をすることで自立し、安定した生活基盤を築くことが可能となることから、就労に向けてのサポートを行うことは重要な取り組みです。そのため、平成22年度から実施している「地域雇用・就労支援事業」を拡充し、これまでの就労困難者に対する相談業務や、個々の資質向上等を目指した「しごと塾」に加え、就労へとつなぐ具体的な取り組みとして、無料職業紹介を実施していきます。

 雇用情勢の悪化等により、生活保護受給者も増え続けています。受給者の方々は様々な問題を抱えていることから、家庭訪問によって直接面談するなど、個々の実情を踏まえた対応を行うことが大切です。しかしながら、これまでのやり方では限界がきていると感じています。  
 生活保護制度は、適正に運用され、セーフティネットとして十分に機能することで、より市民の信頼と理解を得られると考えます。
 こうしたことから、ケースワーカーの増員や、高齢者世帯を専門に担当する嘱託職員を新たに配置するなど、体制整備を図っていきます。
 また、従前から取り組んでいる就労支援に加え、生活能力や就労能力に課題を抱えていることで、就労に至っていない方々に対して、ボランティア活動体験など、様々な社会経験の機会を提供することによって、就労意欲の喚起につなげるなど、「自立支援プログラム」の拡充に向けた取り組みを進めていきます。

 医療費の増加や経済情勢の悪化等により、各医療保険者の財政状況は非常に厳しくなっています。誰もが生涯にわたり健康であり続けるためには、医療保険制度が安定的に運営されることが必要です。
 本市の国民健康保険制度の一人当たり保険料は、阪神間平均を下回っているものの、多人数世帯や所得を有する世帯の保険料の負担率が高く、保険料滞納における要因の一つになっていると考えています。 
 そこで、特に保険料の負担感が大きい多人数世帯や中間所得層世帯を対象とした、新たな保険料の減免制度を新設し、国民健康保険制度の安定化を図っていきます。

 男女の人権が尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる、男女共同参画社会の実現に向けた、今後の取り組みを定める「第2次尼崎市男女共同参画計画」を策定します。
 また、全国的に相談件数が増え続けており、関連した事件も多発していることから大きな社会問題となっている、DVの防止と被害者保護に関する取り組みについて定める、「配偶者等からの暴力対策基本計画」を新たに策定します。

 地域社会の中で、子育て中の親が孤立することなく、子育ての楽しさなどが実感できるよう、保護者が気軽につどい、悩みなどを相談できる「つどいの広場」を拡充していくとともに、あわせて、「子どもの一時預かり」を「つどいの広場」において実施していきます。
 また、不況などの影響から共働き家庭が増えている中で、児童ホームの入所希望も増加傾向にあります。そこで、児童ホームの建て替え等を進めていくことで定員増を図り、待機児童の解消に努めるとともに、時間延長につきましても引き続き検討を進め、留守家庭児童の安全と、就労する保護者の安心を確保していきます。

 全国的にも課題になっている、いわゆる「中1ギャップ」の傾向が本市にも見受けられます。そのため、「学力向上クリエイト事業」を拡充し、家庭学習の習慣化を図っていくとともに、各中学校区の小・中学校が連携し、9年間の連続性のある教育活動を実施していくため、調査研究に対する支援を行っていきます。また、小学校5年生・6年生における外国語活動の完全実施にあたり、小学校教員の英語運用能力の向上を図るとともに、中学校以降の英語学習に向けて、児童のコミュニケーション能力等の素地をつくるための支援を行っていきます。

 今年の4月には待望の尼崎双星高等学校が誕生します。
 尼崎双星高等学校のコンセプトは、「人と人との心をつなぐ、地域とつながる、未来につながる」というものです。いろいろなつながりを大切にし、豊かな人間性を育み、幅広い知識と教養を身につけ、判断力や創造力、コミュニケーション能力を培い、将来の夢を実現できる教育を推進し、全国に誇れる新しいタイプの市立高等学校づくりを目指していきます。

 

第三に、「市民自治のまちづくり」です。

 地域が主体となってまちづくりを進めていくためには、地域住民が自らの判断と責任において、地域の諸課題に取り組むことが重要であり、政治や行政がその責任を果たすだけではなく、地域住民による公共・公益活動を進めることが必要だと考えます。公平性や安定性が問われる行政の役割に加え、先駆性や柔軟性を強みとする市民の活動を高めていくことが、今の私たちの社会には必要ではないでしょうか。
 これまで、市民の力で大きな変化を生み出してきた尼崎からこそ、地域の実情に応じて、市民自らが自発的にまちづくりを担う、「市民が主権を発揮できる市民自治のまちづくり」を目指して、私自身も積極的に説明責任を果たし、相互理解を深めながら、丁寧な対話と参加を基本姿勢として進めていきます。

(主要な施策)

 今、地域では、社会情勢の変化等に伴い、単身高齢世帯の増加や老老介護、子どもや高齢者への虐待など、様々な問題が生じています。このような問題を解決し、誰もが安心して地域で生活していくためには、身近な地域における様々な生活・福祉課題を、地域住民、各種団体等と行政が発見・共有し、協働によって解決できる仕組みを持ち、地域の実態に応じて、きめ細かな取り組みを進めていかなくてはなりません。
 そのためには、地域福祉活動の担い手となる人材を育成することや、解決策を見出していくために協議する場など、福祉コミュニティの形成が必要です。そこで、地域福祉の推進を担う中心的な団体である、尼崎市社会福祉協議会との連携強化を図っていくとともに、同協議会が新たに「(仮称)地域福祉活動専門員」を配置するにあたり、支援を行っていきます。

 本市の財政は危機的な状況が続いており、財政再建を果たすための行財政改革は優先すべき重要課題です。今後においても行財政政革を進めていくためには、地域主権の主役である市民の皆様に、何のために、どの事業に、どれだけの財源が使われているのか、ということを改めて認識していただき、自らが税の使い道を選択できるなど、市政へ参画している実感を持っていただくことが必要です。そのため、まずは本市の財政状況を、市民の皆様に十分ご理解いただけるよう、市の事業に係る予算や決算などの情報を、よりわかりやすく提供する仕組みを構築するとともに、そうした情報を活用し、市民目線による事業点検、評価を行う、新たな仕組みや手法について検討していきます。
 また、市民の皆様に市政へ参画していただく手段の一つである、「市民意見公募(パブリックコメント)制度」につきましては、市民の皆様により関心を持っていただけるよう、制度の見直しに取り組んでいきます。なお、重要で影響が大きい案件につきましては、政策形成過程において複数案の提示を行うなど、その手法について検討していきます。
 従前から実施してきました「車座集会」や「市長室オープントーク」につきましては、市政を身近に感じていただき、市民の皆様とまちづくりに関する情報の共有化を図る、という考え方は引き継ぎつつ、幅広い層の市民の参画を得るために、開催場所やテーマの工夫を図るとともに、グループの活動場所へ私自身が出向くなど、さらに充実した内容で実施していきます。
 NPO法人やボランティアなど、公共サービスを担うことが可能な団体も増えてきており、行政の質の向上を図る観点から、官と民の役割分担など、行政の在り方を見直していく必要があると考えます。そこで、先駆性や柔軟性を強みとする、NPO法人などの多様な団体から、新しい発想による委託や民営化の提案を募り、民間団体自体が公共事業を担う「市民提案型事業委託制度」など、「新しい公共」の仕組みについて検討していきます。

 

(平成23年度施策の推進に当たって)

 次に、平成23年度施策の推進に当たっての考えを申し上げます。
 本市の財政状況は依然として非常に厳しく、現時点での収支見通しでは、プランの最終年度である平成24年度において、約51億円の収支不足が見込まれており、その後においても、多額の収支不足が見込まれる、極めて憂慮すべき状態です。そのため、プランの目標年次である平成24年度までに、「財源対策を講じなくても実質的な収支均衡を図る」といった、当初の目標を達成することは困難な状態であると言わざるを得ません。
 非常に厳しい行財政運営となりますが、将来のまちづくりに希望を見出していくためには、今、私たちが知恵を絞り、覚悟をもって構造改善に取り組んでいかなければなりません。
 今後、さらに行財政の健全化を図っていくため、これまでの取り組みを検証し、構造上の課題を十分に分析する中で、新たな視点や手法、仕組みなどを検討し、抜本的な見直しに向けて、次期計画策定への取り組みを進めていきます。
 また、一方では、将来を見据えたまちづくりを進めていかなければなりません。
そのためには、まちの将来像を、市民・事業者・行政が共有する中で、その実現に向けた取り組みとして、各主体がともにまちづくりに参画することが重要です。
 このような視点を踏まえ、引き続き「次期総合計画」の策定に取り組み、平成25年度からは、新たな総合計画に基づくまちづくりを進めていきたいと考えています。
 これからの市役所、職員は、社会のニーズを的確に捉え、様々な行政課題に対して、迅速に対応することが求められます。そして、それに応えていくことで、市民の皆様からの信頼を得なくてはなりません。
 そのため、「政策室」を設置し、市の重要な行政課題の調査・研究を行うとともに、総合的な視点から、計画並びに政策立案、調整を行い、より迅速な課題解消に努めていきます。
 市役所は「市民の役に立つ所」であり、その要となるのは職員です。これまでも職員一人ひとりが、市民サービスの向上や直面する課題の解決に向けて、懸命に取り組んできましたが、さらに困難な状況を迎えている今、一層の資質の向上に努めていくことが重要です。そのため、新たな人事制度や給与制度の構築について検討していきます。

 

(平成23年度予算)

 以上のような考え方を踏まえ、平成23年度予算を編成してまいりました。
 依然として市税収入は大幅に減少したまま推移している状況です。一方、歳出面では、少子高齢化の進展による社会保障費の増大や、雇用環境の悪化などによる扶助費の増加に加え、公共用地先行取得事業費会計への繰出金や公債費も、高い水準で推移しています。
 このように、本市財政は硬直化した状況が継続しており、平成23年度予算におきましても、75億円もの収支不足が生じています。
 将来への負担を考えますと、不足する財源への対策につきましては、慎重に対応していかなければなりませんが、今後の財政運営を考慮し、財政規律を踏まえた中で、一定の市債を発行することにより、基金の取り崩しを極力抑え、収支均衡を図ったものです。
 引き続き、市税収入をはじめ、歳入全般にわたり増収に努める一方で、歳出では、事務事業の見直しや経常的経費の削減を行うとともに、職員の給与削減の実施による、人件費の大幅な抑制に取り組むなど、内部管理経費の縮減に努めていきます。

 自動車運送事業につきましては、利用者の大幅な減少を受け、極めて厳しい経営状況にあり、経営健全化団体の指定を受けることも危惧されるところです。
 こうした状況を踏まえ、市域におけるバス交通サービス水準の維持を図るため、経営健全化団体への指定回避に向けて、一般会計から必要な支援を講じていきます。
 今後の自動車運送事業の方向性につきましては、昨年7月の尼崎市地域交通会議答申の趣旨を踏まえて、現在、バスネットワークの在り方を中心に、民間事業者を活用した場合の事例を含め、庁内において総合的な観点から検討を進めています。
 できるだけ早期に市としての考え方をお示しし、市民等のご意見をお聞きする中で、最終的な案をまとめていきます。

 水道事業、工業用水道事業につきましては、長期的な視点に立った事業の将来像や、課題解決に向けた方向性を示した「水道・工業用水道ビジョンあまがさき」を平成22年度に策定しました。今後につきましては、ビジョンに定める将来像の実現に向けて、実施する事業の計画策定に取り組むとともに、引き続き、安定給水の確保と健全な事業運営に努めていきます。
 予算額につきましては、一般会計 1,963億 7,100万円 
                特別会計 1,826億 6,668万円
                企業会計     364億 4,556万円
                合   計 4,154億 8,324万円
となり、前年度と比較いたしますと、予算総額で0.6%の増加、一般会計におきましては、4.4%の増加となっております。

 

(むすびに)

 これから日本が本当の意味で元気になっていくためには、子どもたちが夢を持ち、未来に向けて様々なことにチャレンジできる社会でなくてはなりません。
 私たちの今は、先人の方々が切磋琢磨され、希望や夢をつないでいただいたことで存在しています。次は私たちの番です。今を生きる私たちは、子どもたちが、夢や希望を抱いて生きることができる社会をつくり、未来へとつないでいく責任があります。
 私は自ら先頭にたって、問題を先送りせず、将来に対して道筋をつけるため、知恵と勇気を持って何事にも全力で取り組んでいきます。
 顔を上げて、前を向き、目線を少し先に据えながら、議員の皆様、市民の皆様と一緒になって、安心で希望あふれる尼崎の未来の姿を描き、一歩一歩着実に、成熟社会にふさわしいまちづくりを進めていくことを強く決意しています。
 

 どうぞ、議員の皆様、市民の皆様、引き続き、ご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。

 

平成23年2月21日
尼崎市長 稲村 和美

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