平成25年度施政方針 (平成25年2月19日 第22回市議会定例会)

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ページ番号1008550 更新日 平成30年2月23日

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平成25年度施政方針 (平成25年2月19日 第22回市議会定例会)

施政方針

 第22回市議会定例会の開会に当たり、平成25年度の市政運営に対する所信を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解、ご賛同を賜りたいと存じます。

 私は、市長就任からの2年間、この尼崎で育まれた若い力が、全国レベル、さらには世界レベルで活躍する姿を幾度も目にしてきました。
 ロンドンオリンピックに出場を果たしたディーン元気さんやF1日本グランプリで表彰台に立った小林可夢偉さんなどは、皆様の記憶にも新しいと思います。スポーツの分野だけではありません。市内の企業にお勤めの菓子職人さんが、洋菓子技術の全国コンテストで優勝を果たされ、尼崎双星高校の生徒たちは、ロボットの操作技術を競う大会で全国5位の成績を収めました。
 このほかにも、尼崎で成長した数多くの若い芽が飛躍を遂げ、日本で、世界で、大輪の花を咲かせています。そして、その姿は、私たちに元気や勇気、夢を与えてくれています。

 こうした若い人たちが世界や日本で認められる舞台に立つまでには、決して順風満帆な日々ばかりではなかったと思います。厳しい鍛錬や研鑽を通して自己改革を続け、日々レベルアップを図る。同じチームのメンバーや、指導者、スタッフの方々とともに同じ夢や目標を共有しながら、それぞれが役割を果たし、協力しあって困難を乗り越える。そうした過程で試行錯誤を重ねながら、弛まずチャレンジを続けた結果だと思います。

 彼らのこうした姿は、これからの本市のまちづくりにも相通じるものを強く感じています。まちづくりにおいても、市民・事業者の皆様と行政が同じ夢や目標を持ち、それぞれが役割を担いながら、日々切磋し、協力しあい、その実現や達成に向けて果敢に挑戦し続けること、また、そうしたことができる土壌を作っていくことが大切です。

 尼崎は、地域ごとに、様々な特徴や表情を持つ多様性を有し、挑戦する人を受け入れ、応援し、その力を活かしていく包容力があります。これが本市のエネルギーの源であり、魅力になると感じています。
 私は、我がまちの持つ多様性や包容力が生み出す力、若い人たちが示してくれたように、自らの可能性を現実のものとしていく力を信じ、まちづくりを進めたいと考えています。

(平成25年度施策の推進に当たって)
 「課題先進国」日本。東京大学前総長の小宮山宏さんが我が国の現状を表現された言葉です。エネルギーや資源の欠乏、環境や廃棄物の問題、少子化と高齢化、都市の過密と地方の過疎など、日本には、まだどの国も解決したことのない課題が山積していることを意味しています。そして、こうした日本の課題は将来の世界の課題であり、それらを解決することは、人類にとってのこれからの社会モデルを提供することになるとして、「課題先進国」から「課題解決先進国」となることが、目指すべき国家像であるとされています。

 翻って、尼崎の歴史を振り返りますと、比較的早くから都市化が進み、とりわけ、近代以降の工業化の歩みと軌を一にして、我が国の経済成長に大きく寄与するとともに、本市もまちの活力を得て、産業都市として発展してきました。その一方で、こうした急速な都市化、工業化により、古くは地盤沈下に伴う水害の問題をはじめ、人口急増による都市インフラの不足、環境の悪化による公害の問題に向きあい、近年では産業構造の変化による空洞化や、整備したインフラの老朽化、人口減少や少子化・高齢化に伴う様々な課題が生じています。

 特に、この10年間は、危機的な収支不足を踏まえ、財政再建団体への転落を回避するべく、「経営再建プログラム」に取り組み、それに続く「行財政構造改革推進プラン」では、さらなる歳出規模の抑制や負債の縮減など財政構造の改善に取り組み、当初の目標を上回る構造改善効果額を上げてきましたが、景気低迷や扶助費の増加などの影響により、財政運営は厳しい局面が続いており、財政の健全化が依然として大きな課題となっています。

 本市は、時代の先端を走りながらも、そこで発生する都市の課題に、他都市に先んじて直面してきた「課題先進都市」といえるのではないでしょうか。私たちは、今後も引き続き、都市の課題の解決に取り組み、「課題解決先進都市」を目指して、まちづくりを進めていかなければなりません。

 こうしたなか、今後10年間のまちづくりの基本方針となる「尼崎市総合計画」を策定し、25年度から新たな取組をスタートさせます。
 この総合計画では、市民、事業者、行政で共有する、将来の「ありたいまち」として、「人が育ち、互いに支えあうまち」「健康、安全・安心を実感できるまち」「地域の資源を活かし、活力が生まれるまち」「次の世代に、よりよい明日をつないでいくまち」の4つの姿を掲げ、その実現に向けて施策を展開していきます。

 また、同時に、持続可能な行財政基盤の確立に向けた行財政改革計画、「あまがさき『未来へつなぐ』プロジェクト」を始動させます。
 このプロジェクトで取り組む10年間は、減量型の行財政改革だけではなく、中長期的な視点で、住民福祉の支え手となる現役世代の定住・転入の促進や、健康で自立した生活の確保、税収の安定・向上につながる取組などにより、「都市の体質転換」を目指します。

 この2つの計画は、今後10年間の航海に乗り出す私たちの目的地を示すとともに、常にその方向を指し示す羅針盤の役割を果たします。
「ありたいまち」「都市の体質転換」を目指す航海には、様々な障害や困難もあるでしょう。グローバル化の進展に伴う社会経済情勢の変化は激しく、これまでの経験をもとに将来を予測することは難しい状況にあります。国内においても、今後予定されている、社会保障・税の一体改革や、新政権が打ち出す新たな経済対策など、本市に直接影響を及ぼすであろう様々な動きが見込まれます。
 こうしたなかにあっても、目指すところと方向を示す、この2つの計画のもとに、時にはルートを変更し、柔軟に対応しながらも、目的地を見失うことなく、市民・事業者の皆様とともに現状の改善を進め、課題の解決を図っていくことが、「都市の体質転換」につながり、将来の「ありたいまち」へ、着実に近づくことになると考えます。
 この2つの計画を手に、「課題先進都市」から「課題解決先進都市」となれるよう、取組を進めていきます。

(市政運営の基本的な考え方及び主要な施策)
 それでは、市政運営の基本的な考え方とともに、主要な施策について申し上げます。
 「ありたいまち」の実現に向けて重点的に取り組むこととしております、総合計画に定める4つの主要取組項目、「人の育ちと活動を支援する」「市民の健康と就労を支援する」「産業活力とまちの魅力を高める」「まちの持続可能性を高める」に基づき、施策を実施します。
 また、私たちは、2つの計画の本格的な施策展開に先駆けて、24年度をその布石を打つための重要な1年と位置づけ、計画の考え方を先取りした取組を進めてきました。施策の説明に当たっては、こうした取組を含めてご説明いたします。
 
 まず一点目は、人が育ち、互いに支えあうまちに向けて、「人の育ちと活動を支援する」主な取組です。

 子どもたちの生きる力を育む上で、学力は重要な要素です。学習意欲の向上と確かな学力の定着を図ることは、子どもの将来を支える基盤であり、ひいては保護者などの安心や子育てファミリー世帯の定住・転入によるまちの活性化にもつながります。
 学校や家庭、地域、行政の連携による人とのつながりのなかで、未来を担う子どもたちが、より社会性豊かに成長し、地域への愛着を育むことができるよう、事業を展開していきます。

(主要な施策)
 本市の小・中学校の学力面の課題を解決するため、これまでから「学力向上クリエイト事業」をはじめとする施策を展開しています。また、小学校から中学校に進むにつれ、いわゆる中1ギャップの状況が見られたことにより、23年度から、全中学校区において、小・中学校連携のもとで、訪問授業など9年間の連続性ある教育活動を行ってきました。その結果、以前の調査と比べて基礎・基本的な知識の定着や進学時の戸惑いの減少といった成果が見られたものの、基本的な知識や技能を活用したり、応用する力に課題が見受けられます。
 そこで、今までの各学校での基礎的な知識や技能の習得を目指す「学力向上クリエイト事業」を再編し、新たに、思考力や判断力、表現力を育む、活用型学習支援の取組を進め、学力の全体的なレベルアップを目指します。
 さらに、27年度に予定されている公立高校全日制普通科の学区拡大・再編を見据え、すべての公立中学校の3年生を対象に、1学期と2学期に一斉テストを行い、自身の課題や対策を把握した上で、放課後や土曜日に学校で学習できる環境を整えるとともに、学校の進路指導力の向上を図ります。

 24年3月に本市で開催されたロボカップジュニア全国大会をきっかけに、尼崎双星高校や尼崎商工会議所と連携しながら、児童生徒の理科離れという全国的な課題を見据えたロボットプログラミング講座を公民館で実施します。
 また、市内の大学の協力を得ながら、子どもたちに楽しく英語に接してもらう取組を図書館で行います。
 これらの取組を通じて、子どもたちと一緒に参加する保護者の方々の社会教育への関心を高め、まちづくりへの参画意欲を育むなど、新たに地域の力となる人材の発掘にもつなげていきます。

 また、本市は、小学校の放課後に子どもたちが安心して遊び、異なる年齢の児童が交流できる「こどもクラブ」、留守家庭の児童を対象とした「児童ホーム」をすべての公立小学校に設置しているほか、子育て中の親子が一緒に集い、一時預かりもできる「つどいの広場」を利便性の高い場所に開設しているなど、子育て世代には大変暮らしやすいまちだと思います。
 この強みをさらに伸ばせるよう、待機児童の解消に向けた児童ホームの定員の拡大に加え、つどいの広場の増設や一時預かりの拡充などを進めます。
 あわせて、25年度は、老朽化した塚口保育所の建て替えに着手し、定員の拡大や0歳児保育の実施とともに、地域子育て支援の充実に向けた取組を進めます。
 さらに、24年8月に成立した子ども・子育て関連3法の趣旨である、幼児期の学校教育・保育の総合的な提供、保育の量的拡大などに対応していくため、地域のニーズを把握した上で、子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた取組を進めていきます。

 障害者が自立した日常生活を営めるよう、従来からの取組と新たな法制度の取組をあわせ、円滑な運用を図りながら、より一体的な障害者支援を進めます。
 これまでの権利擁護のための相談支援や、就労支援を引き続き行うとともに、25年度は、児童発達支援センターの専門職員が、障害児の利用する保育所などを訪問の上、集団生活に適応するための支援を行います。

 子どもや地域で孤立する高齢者などの見守り活動の必要性や、大震災を教訓とした防災意識の高まりから、地域コミュニティの大切さが再認識されるとともに、様々な場面で、市民の参画意欲を高めていくことが求められています。
 こうしたことから、24年度に引き続き、社会福祉協議会などの地縁型団体、NPOなどのテーマ型団体といった多様な担い手が連携し、地域課題の解決に向けて活動ができるよう取組を進めるとともに、「自治を学び考えるチャレンジ市民塾」を開催し、本市にふさわしい自治のルールづくりに向けた取組を進めます。
 あわせて、市民・事業者の皆様によって主体的に運営されている尼崎市民まつりについて、まつりの企画や運営を通じて各地域の活動団体とのつながりが一層強まるよう、安定的な運営のための支援を行います。

 主要取組項目の二点目は、健康、安全・安心を実感できるまちに向けて、「市民の健康と就労を支援する」主な取組です。

 新たな総合計画では、活動人口の増加を目指しています。市民の健康は活動の基盤となるものですが、要介護認定率や、社会保障費に占める医療費割合が依然として高いことから、生涯を通していきいきと社会参画できるよう、市民の健康を支援する事業を進めます。
 また、生活の安定を図る就労施策としては、やむを得ず就労に至っていない方に対しても、社会に関わる機会を提供することで孤立を防ぎ、就労意欲を喚起する取組などを引き続き行います。
 高齢化の進行により人口の年齢構成が変化するなかで、日常生活でのつながりが大切な住民福祉の支え手を増やすとともに、防犯、防災の取組を強化し、市民生活の安全・安心の構築を目指していきます。

(主要な施策)
 地域住民による活動を基盤とした地域福祉の推進を図るため、24年度は、地域福祉活動専門員を3名から6名に増員し、社会福祉協議会の6支部それぞれに配置しました。この体制のもとで、25年度以降も、地域の要援護者などが抱える課題の共有、地域におけるネットワークの構築をさらに推進し、災害時要援護者などの支援体制づくりにもつながるよう、引き続き取り組みます。

 「対処から予防へ」を掲げ、生活習慣病を防ぐ健診・保健指導を行う「ヘルスアップ尼崎戦略事業」では、心筋梗塞などの入院者や人工透析導入者の減少など一定の成果を得て、現在、特に、慢性腎臓病などの重症化を予防する取組を進めています。
 25年度は、全庁横断的な生活習慣病予防への取組をさらに前進させ、軽度の要介護者への健診・保健指導を実施するとともに、本市の国民健康保険加入者を対象に、経済的な理由による、糖尿病の未治療や、治療中断による重症化を防ぐため、「糖尿病窓口負担金助成事業」を行うなど、市民の皆様の健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指します。
 さらに、未来を担う子どもたちが、食生活をはじめとする生活習慣を自ら考え、自身の生活に活かせるよう、本市独自の副読本を活用した授業をすべての公立小・中学校で行います。

 救急医療体制については、事務事業点検委員会の公開事業たな卸しにおける、「市民が納得できる体制づくりと、補助のあり方を明確にすべき」とのご意見を踏まえ、入院を要する重症の救急患者を夜間休日問わず365日確実に受け入れられるよう、循環器内科や脳神経外科など6つの専門科目ごとに、市内の2次救急指定の医療機関に医師と空きベッドを確保する取組を、尼崎市医師会の協力のもとで進めます。
 これにより、重症患者の受入照会回数の減少や市内医療機関での受入率の向上など、命を救う一層の安心の確保に努めます。

 全国的に増加する生活保護受給者は、本市では全市民のうち約4%を占めています。個々様々な事情でこのセーフティネットを使わざるを得ない方が増える状況のなかで、本市では適切かつ厳正な支給を行うのは当然のこと、ホームレスであった方などが居宅で生活を営むための支援や、24年度から始めた、受給者へのボランティアや職業体験の機会の提供、子どもに対する家庭学習の習慣づけを目的とした学習支援や保護者の養育支援を継続します。
 25年度は、社会参加の前提となる健康増進や生活習慣の改善に向けた健診・保健指導の促進を図り、自立へ向けた支援をさらに進めます。

 就労支援については、これまで、就労希望者への相談や個々の資質向上を図るとともに、仕事の紹介や市内企業の労働力確保に対する支援などを行う無料職業紹介を実施してきました。これらに加えて、人材育成・職場体験から就労斡旋までを一体的に行う「しごと塾」や、幅広い職種を対象とした就職面接会などを行い、着実に就職者を増やしています。これらの取組を定着させ、さらに就労につなげていくよう、引き続き取り組んでいきます。

 市民・事業者の皆様の安全で平穏な生活の確保や、社会経済活動の健全な発展を促すために、25年7月から暴力団排除条例を施行します。
 また、配偶者などからの暴力に対して、被害者の発見から保護・自立までを切れ目なく支援するため、25年度から、相談支援の体制を強化します。
 さらに、兵庫県内のひったくり発生件数のうち、24年においては、約3分の1が本市の市内で発生している現状を踏まえ、警察などの関係機関と連携しながら、防犯に関する情報発信や意識啓発、地域ぐるみの防犯活動の推進など、地域で防犯力を高める取組を進めます。

 災害から市民の皆様の生命と財産を守る安全・安心の確保は、一人ひとりの協力なくして進められません。「津波等一時避難場所」については、多くの方や企業の皆様から協力をいただき、2月時点で254箇所となり、各地域が主体となった地域防災訓練も定期的に行われています。
 このような状況を踏まえ、引き続き、地域での防災力向上に向けた講座の開催や、防災行政無線の屋外スピーカーの設置箇所の拡大、地域の地盤高を知っていただくための目安となる海抜表示板を新たに設置するとともに、国や県の最新の被害想定を反映した地域防災計画などの見直しを進めます。

 三点目は、地域の資源を活かし、活力が生まれるまちに向けて、「産業活力とまちの魅力を高める」主な取組です。

 本市には、高い付加価値を生み出す産業や環境負荷の低減に貢献する産業などが集積しており、今後も発展する素地を持っています。
 産業界の皆様とともに「ECO未来都市・尼崎」の実現に向け、環境と産業の共生、地域経済の好循環を図る取組の強化とともに、中小企業のものづくりに対する支援や、商業活性化に取り組む事業者への支援などを進めます。
 また、シティプロモーションについては、「今ある魅力と潜在する資源を磨き上げること」や「過去のマイナスイメージの払拭と現在抱える課題の解消」「これらの取組を戦略的・効果的に発信すること」が重要なポイントです。いわばPRだけではなく、まちの体質を変えていこうという考え方のもと、様々な施策に取り組んでいきたいと考えています。

(主要な施策)
 尼崎版グリーンニューディールでは、24年3月に「市内の環境の向上」や「地域経済の活性化」「新規事業や雇用などの創出」といった目的を達成するための基本的な考え方をお示しし、様々な事業を行うとともに、事業者や市民の皆様と連携した取組が進められるよう、意識の共有化を図ってきました。この一環として、国が公募する「環境モデル都市」へ応募しました。
 応募内容は、環境分野における技術革新の推進や、コンパクトな市域を活かした環境に優しい多様な交通施策・物流の推進、災害にも強い自立分散型・再生可能エネルギーの導入促進などを提案したもので、引き続き、この実現に向けた検討を進めます。
 また、24年度から実施している創エネルギー機器の導入を助成する制度では、申請が100件を超え、うち約8割が市内事業者の施工であることから、地域経済の活性化に寄与しているものと考えています。
 そこで25年度は、この制度に加えて、市内事業者への発注を前提とする新たな2つの取組として、市場や商店街の既存照明をLEDに置き換える際の助成や、事業者の皆様が新たに設置する10kW以上、50kW未満の産業用太陽光発電設備について、固定資産税の課税を3年間免除する制度を新設します。
 さらに、こうした再生可能エネルギー導入のモデルとするため、本市のクリーンセンターにも太陽光発電設備を設けるほか、一部の学校施設では、耐震化を進めるなかで、これまでよりも規模の大きなソーラーパネルを設置します。
 あわせて、新たな成長分野の事業者の支援とその集積による地域活性化を図るため、環境分野の事業者が本市指定の賃貸オフィスへ入居する際の賃料補助を拡充します。
 なお、ひょうご環境創造協会による臨海部へのメガソーラー建設に関しては、引き続き本市の経済循環につながるような働きかけを行います。
 これらの取組を通じて、本市における再生可能エネルギーの普及と経済のさらなる好循環を目指します。

 商業面では、再開発ビルの活性化を図るため、一定規模の床を確保しリニューアルする事業者に対して費用の一部を助成するほか、市場や商店街などの空き店舗での火災予防や資産の有効活用を促すため、その対策の基礎となる実態調査を進めます。
 これら様々な取組をはじめ、雇用も含めた本市の産業振興施策の一貫性を担保するため、産業振興に関する基本的な考え方を定める条例の制定を進めます。

 新設したシティプロモーション推進部では、まちの魅力を増進させる考え方を先取りして、「子どもの夢を応援する」をキーワードに、まちの魅力を戦略的・効果的に発信する取組を進めています。
 最高峰の大人と出会い、一人ひとりの子どもの持つ無限の可能性が芽を出し花を咲かせる、そのきっかけづくりとして、小学校において市内企業のご協力により、未来のパティシエを育てる授業や、総合文化センターとともに、白髪一雄について学ぶ授業などを行い、また、「チャレンジ!あまがさき夢大使」に就任いただいた尼子騒兵衛さんには、生まれ育って今も暮らすこのまちの魅力や、夢を持って生きることの大切さを語っていただきました。
 25年度は、「まちの魅力を高める」「課題を解消する」という考え方について、様々な事業への浸透を図るとともに、これらの取組を先駆的に行う都市との連携や交流を図るシティプロモーションサミットの開催や、若年層が舞台芸術を安価で鑑賞できる事業、特徴ある建物で若手・中堅作家の作品を展示するアート展などを行います。

 文化財収蔵庫では、本市の歴史や文化財に触れる機会を増やすための環境整備を図り、より多くの市民の皆様や、学校など団体での利用を促進します。また、尼崎運河での水質浄化の取組や、まちを水害から守る閘門の役割など、運河を学びの場として取り上げる事業を強化します。

 四点目は、次の世代に、よりよい明日をつないでいくまちに向けて、「まちの持続可能性を高める」主な取組です。

 良好な住環境や営みを支えるまちの形成は、子育てファミリー世帯を中心とした現役世代の定住や転入につながる重要な要素です。
 また、ごみの減量と再資源化を図るため、この4月から家庭ごみの収集回数を見直しますが、これは地球温暖化や資源の枯渇という課題の解決策であるとともに、一人ひとりが毎日たまご1個分のごみの量を減らせば、例えば、約56億円が見込まれるクリーンセンター第一工場の建て替えも不要となり、財政面の持続可能性にも寄与する取組となります。
 行政が持つ財源が限られるなか、災害への対応力を高める耐震化や、既存設備の維持管理コストの最適化、公共施設の再配置による機能性の向上などを行いつつ、持続可能なまちに向けた都市の基盤づくりを進めます。

(主要な施策)
 市内における持家取得の促進を図るため、子育てファミリー世帯向けの補助制度を、引き続き実施していきます。また、本市の宅建取引などの住宅関係者を交えたすまいづくり支援会議との連携を図るとともに、本市の暮らしやすさや魅力などを総合的にご案内するホームページなどによって、本市への定住や転入の促進につながるような取組を進めます。

 また、総合計画の趣旨を踏まえ、都市全体の土地利用のあり方や地域ごとのまちづくりの取組方針などを示す「都市計画マスタープラン」や、日々の暮らしに安らぎと潤いをもたらす緑に関する保全や創出を図る「緑の基本計画」の改定作業を、引き続き行います。

 市営バス事業については、24年7月の公営企業審議会からの答申を踏まえて策定した取組方針に基づき、民間事業者への移譲を進めることとし、その事業者を選定する作業に着手します。
 移譲に当たっては、公共交通の担い手としてふさわしい事業者の選定に努めるほか、移譲から3年間は運行路線などサービス水準を維持する規定を設けるなど、市民の皆様にとって必要なバス交通サービスの確保を図ります。また、交通局が抱える累積資金不足の解消など、民営化を円滑に進めるための一時的なコストについて、一般会計から補助を行います。
 あわせて、バスや自動車だけではなく、自転車や徒歩も含めたすべての交通手段を網羅した、総合的な交通体系のあり方を検討するための調査を進めます。

 学校や市営住宅など本市の公共施設の多くは、老朽化や耐震性などの課題を抱えており、非常に厳しい財政状況のなかでも、必要な箇所に適切な投資を行わなければなりません。
 特に、25年4月におよそ60%となる見込みの学校施設の耐震化については、早期に耐震化率を向上させるため、重点的に取り組みます。
 また、市民利用施設を対象とする公共施設の最適化に向けた取組は、就任以来、その考え方や素案をお示ししてきましたが、いただいた様々なご意見を踏まえ、25年度前半の成案化に向けて、引き続き検討を重ねます。同時に、公共施設が寿命を迎えるまでに要するコストの削減、平準化をねらいとして、計画的な保全や、効率的・効果的な資産運営を目指すマネジメント計画の策定を進めます。

(まちづくりの進め方)
 さて、今申し上げた4つの主要取組項目に基づいたまちづくりを進めていく上で大切なことは、市民自治を高めていくことです。そこでキーワードとなるのが「新しい公共」です。

 私が考える「新しい公共」とは、行政が適切な役割を果たしながら、市民自治に立脚し、地域における多様な主体がそれぞれの強みを活かして、様々なまちの課題の解決に取り組むことで、サービスの向上や雇用の創出、地域の活性化などにつなげていこうとするものです。

 ごみ減量やリサイクル、病気の予防、自転車マナーなどは、暮らしのなかから生まれる課題ですが、これらの課題に市民の税金のみで対処すればするほど、皆様の負担は増え続けるばかりです。一人ひとりが学び、意識を高めれば、課題は少しずつでも解決できる、つまり、市民・事業者の皆様一人ひとりの行動や参画が大きなポイントになると思います。

 これまで、市民自治を高めるという観点から、市の事務事業をわかりやすく公開したり、施策の立案時に熟度の低い段階から市民意見を聴取する仕組みの導入、公開した事務事業を市民の皆様が有識者とともに点検する公開事業たな卸しを進めてきました。

 25年度は、さらに取組を前進させ、市の事業に対し、市民やNPO、企業の皆様などから、民間ならではの知恵やアイデアが盛り込まれた提案を募り、行政とともにその提案に磨きをかけて、委託を進める「提案型事業委託制度」を導入します。

 また、学びをキーワードとして、市民の皆様の主体的な学習や活動を支援し、地域を支える人材の育成に結びつけていくため、市内6つの公民館が中心となって、より地域や生活の課題に密着した学習事業を展開するとともに、25年度から地域団体の皆様などで運営される地域学習館とも連携を図り、学びの機会を充実させていきます。
 
 私は、25年度に向けたこれらの取組を進める先に、次のような将来像を描いています。
 自分たちの住むまちに関心を持ち、各地域で行われる学習の場への参加を通じて仲間と出会い、ともに地域の課題を学ぶ人が増えていく。
 その学習の成果は、さらなる学習意欲や使命感となって現れ、やがて主体的に地域や社会へ参画し、行動する人が増えていく。
 さらに、多様性や包容力という強みを持つこのまちの風土が、相互の連帯感を育み、社会的な課題の解決を目指して組織的に行動する人、あるいは、いわゆるソーシャルビジネスを生業とする人など、多様な形で新たな公共を担う人たちが増えていく。
 そして、こうした人たちの地域を支えあう姿が、絆という子どもたちへの最高の学びとなって次代へと引き継がれていく。

 また、新しい公共を進める上で特に重要なことは、行政の、これまでの意識や行動を変えていくことだと思っています。
 行政サービスをこれまで通り提供するだけではなく、今まで行政が担ってきた領域や保有している資源を新しい公共の場に開いていく、そのなかで、市民・事業者の皆様が様々な選択肢を持ち、活動できる環境を整えていく、さらには、必要に応じて様々な活動をコーディネートする、あるいは提案事業をプロデュースしていく。
 こういう姿が市役所や職員への信頼を高め、市民の皆様がこのまちをさらに信じて、暮らしを営んでいくことにつながっていかなければなりません。

 このような市民自治を基礎としたまちづくりを進め、着実に「ありたいまち」を目指していきたいと考えています。

(平成25年度予算)
 続いて、このような意を用いて編成しました、25年度予算の概要について申し上げます。

 歳入面では、給与収入の減少や法人の実効税率の引き下げの影響などによる市民税の減や、大規模工場の生産設備の縮小などによる固定資産税の減が見込まれ、歳出面では、扶助費や公債費などの義務的経費が引き続き高い水準で推移しており、厳しい財政状況が続いています。

 25年度の政策推進方針に基づき、約6億円の構造改善に取り組むとともに、投資的経費やその他経常的な経費など歳出全般の縮減を図り、収支改善に努めていますが、なお解消しきれない収支不足が約48億円生じており、市債や基金の活用を余儀なくされる状況となっています。
 市債の活用については、将来の負担を見据え慎重に行わなければなりませんが、後年度においても厳しい収支状況が続くことから、これに備えるための基金残高とのバランスを保ちつつ、一定額を発行します。
 
 自動車運送事業については、引き続き安全・安心な輸送の確保に努めるとともに、可能な限りの経営改善に取り組みます。また、民営化に伴う移譲事業者が決定した後は、円滑な移譲に向けた調整を進めていきます。

 水道事業、工業用水道事業については、給水量の減少傾向や受水企業の需要動向に留意し、「水道・工業用水道ビジョンあまがさき」に基づき、効率的な施設整備に努め、安定給水の確保を図ります。
 また、下水道事業については、「尼崎市下水道中期ビジョン」に基づき、効率的な下水道管理や整備、安定経営に努めます。

 予算額については、
  一般会計 1,966億 4,000万円
  特別会計 1,921億 4,825万円
  企業会計   358億 1,902万円
  合  計  4,246億    727万円    となります。

(むすびに)
 晩年、尼崎の地をたびたび訪れ、久々知の広済寺に今も眠る近松門左衛門が述べたとされる有名な言葉に、「虚実(きょじつ)皮膜論(ひにくろん)」があります。
「芸といふものは、虚(きょ)と実(じつ)との 皮膜(ひにく)の 間(はざま)にあるもの也(なり)。虚(きょ)にして虚(きょ)にあらず、実(じつ)にして実(じつ)にあらず、この間(はざま)に慰(なぐさ)み があるもの也(なり)」。
 私なりに解釈しますと、「人の関心を引くドラマやストーリーとは、理想と現実との間にあるもの。理想であって理想ではなく、現実であって現実ではない、微妙な間にこそ、人の心を動かすものがある。」ということです。

 私たちは、将来尼崎市がどういうまちになりたいのかを、総合計画において「ありたいまち」として市民・事業者の皆様と共有し、この姿を目標として様々な取組を進めることになります。
 しかし、時代の動きは激しく、先が見通しにくいなかで、現実には様々な制約に縛られ、行く手を阻まれることもあると思います。

 このような状況のなかにあって、理想にこだわるだけでもなく、また、現実だけに捉われるでもない、その間のなかで、皆様とともに、語り、議論を尽くし、力を結集して「ありたいまち」を目指していきたいと考えています。
 新しい総合計画のキャッチフレーズは、
      「ひと咲き まち咲き あまがさき」です。
みんなが支えあい一人ひとりが成長し、活躍するという「ひとが咲く」、そして、人や産業、歴史や文化というチカラや財産を活かして「まちが咲く」、
人々が、まちが、花を咲かせ、実を結び、種を残し、また次の花を咲かせていく。

 私たちは、平成28年に市制100周年を迎えることになります。
100年を超えて、このまちに関わる一人ひとりの花がもっと“咲き”、これからもずっとこのまちが“咲き”続ける、そんな“あまがさき”を目指します。

 25年度は、この総合計画のもと成熟社会にふさわしいまちづくりに向けた新たなステップに踏み出すことを強く意識し、引き続き、未来を見据え、未来へつなぐ挑戦に、全力を尽くしてまいります。

 どうぞ、議員の皆様、市民の皆様、引き続き、ご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。
 

このページに関するお問い合わせ

秘書室 秘書課
〒660-8501 兵庫県尼崎市東七松町1丁目23番1号 本庁南館2階
電話番号:06-6489-6008
ファクス番号:06-6489-6009