この絵図は、現在のJR尼崎駅周辺一帯を荘域とする東大寺領猪名荘を描いたもので、天平勝宝8年(756)、当時の摂津職河辺郡猪名所の地が東大寺に勅施入された際に作られた絵図の写しです。碁盤目状の条里が描かれ、各坪に坪数や耕地面積などの必要な記載がなされている他、左右の両端に勅施入当時の面積、摂津職の官吏の名前などが記載されています。図中には、堤防と目される二重線や荘園に関わりのある施設と考えられている記号が描かれており、猪名荘の姿を復元する上で大変貴重な資料です。実際にこの絵図が作成された時期は明確ではありませんが、「長渚」「杭瀬」「大物」など猪名荘成立以降に猪名荘南端の浜地に誕生した地名が書き込まれているところから、平安時代末期以降に繰り返されたこれら「新出地」の帰属を巡る相論に関わる絵図ではないかと考えられています。
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