花崗岩製で、総高150.3cm。高さ29.5cmの基礎の上に、方柱状の高さ74.9cmの塔身を立てて、20.9cmの笠を置き、その上に宝珠を飾っています。基礎は中央複弁一葉の左右に間弁を配し、隅複弁の反り花を刻出しています。背面は不明ですが、三面は輪郭付き格狭間(こうざま)入りで、正面と右側には線刻の近江式装飾の開花蓮を飾っています。
塔身は四面に輪郭を巻き、それぞれの内に「南無妙法蓮華経」の題目を配し、上端にほぞをつくり、笠のほぞ穴にはめこんでいます。笠は高さ20.9cm。
(しちゅう)の屋根は全体に反転が強く、屋根右側の中央には、縦書きで「十一」の陰刻が見られま
すが、その意味は分かりません。宝珠と請花は一石からつくられています。
この笠塔婆は本興寺の歴代住職の墓の中でも規模が最大であるだけでなく、時期的にも最も古く15世紀中頃の造立と考えられています。基礎に兵庫県下でも珍しい近江式装飾文の開花蓮を飾ったり、笠の露盤を輪郭付き格狭間入りとし、請花に単弁八葉を刻み、さらに宝珠を高台上にのせるなど細部の手法が丁重をきわめています。それは外観だけでなく塔身の上端のほぞや笠の下端のほぞ穴を二重につくるなど目の届かぬ点にも見られます。この形式が以後の住職墓の基本になったことも注目されます。なお、本笠塔婆は、もと本興寺北西隅の墓地にありましたが、昭和57年に現在地に移されました。
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